「サヨク青二才」島田雅彦(『世紀末新マンザイ』 福田和也・島田雅彦 文藝春秋)の、なんと青二才のことよ。

TED TIMES 2020-47「島田雅彦」 8/5 編集長大沢達男

 

サヨク青二才」島田雅彦(『世紀末新マンザイ』 福田和也島田雅彦 文藝春秋)の、なんと青二才のことよ。

 

1、日本革命

天皇自らが思想を発動させ、皇居に錦の御旗を立て、社会の乱れを糾す。これが安岡正篤の錦旗革命論です。もう一つは、北一輝の『日本改造法案大綱』の革命論。明治憲法の虚をつき、戒厳令を発令させ、憲法を停止させ、革命を起こす。片山杜秀は、小説『スノードロップ』を書いた島田雅彦を、日本革命の旗手として評価しています(『文藝春秋』2020.8)。『スノードロップ』(島田雅彦 新潮社)は面白い。しかし読み進めるうちに、島田雅彦の「サヨク青二才」ぶりに、ただあきれ、本を投げ捨てたくなります。

2、サヨク青二

1)「サヨク青二才」の政治感覚。

<自分たちの不正、失策を隠すこと、アメリカ大統領のご機嫌取りをし、ひたすら税金をアメリカに貢ぐこと>(p.54)、<財政破綻は秒読み、廃炉への道は遠いのに原発再稼働を推し進め、外交安全保障政策は全て裏目に出ました>(p.55)。

経済政策は、資本主義か社会主義か、自由か統制か、市場か政府かです。日銀総裁黒田東彦アベノミクス浜田宏一ではダメなら、変えればいいだけの話です。サヨク青二才の主張はイデオロギッシュ、マルクスの国家独占資本主義論のようです。

2)「サヨク青二才」の日本史。・・・<120年以上も前から、日本のたどる運命は決まっていた>(p.123)、<(ユダヤ人銀行家)シフは(中略)総額で2億ドルもの戦費を調達し、(日露戦争での)日本の勝利と帝政ロシアの崩壊へと誘導しました>(P.123~4)、<日本はあるユダヤ人が敷いたレールの上を驀進する機関車に過ぎなかった(p.123)。・・・まるで日本が悪徳サラ金にかかったような話、誰がこんな明治以降の日本の120年史に共感するでしょうか。日露戦争の意義は、白色人種(ロシア)に初めて、有色人種(日本)が勝ったこと、世界史の流れを変えたことです。大東亜戦争の意義も同じです。アジアの西欧の植民地を日本が解放したことです。白色人種が優れている、神話を崩壊させたことです。ただ日本が敗戦したために、1960年代まで白人イコール優秀が、西欧知識人の常識としてまかり通りました。青二才の思考にはレーニン帝国主義論あります。もっと悪いことには、日本人が洗脳され白人優越論に加担していることです。

3)「サヨク青二才」の国際感覚。

<ロシアや中国に対して強硬姿勢を示せば、愛国者になり、親ロシア、新中国の発言をすれば売国奴扱いにされるという単純な二分法がまかり通っています>(p.104)。ロシアに詳しい佐藤優、中国大使だった丹羽宇一郎、そして中国でユニクロを展開している柳井正は、売国奴でしょうか。<日本はアメリカ製の武器を買い続け、米軍の戦費を負担し、沖縄の基地を提供し、そのコストを支払っております(中略)日本がロシアと戦争状態に陥ることだけは避けたいという私たちの思いを汲み取っていただきたい>(p.98)。おいおい。令和の皇后にロシアの大統領に向かってこんなことを言わせています。雅子皇后なら、2005年にイギリスでロシアの連邦保安庁のアレクサンドロ・リトビネンコ(43歳)が暗殺されたことを、ご存知のはず。小説はあまりも現実を無視しています。<日本が日米安全保障条約を破棄し、米軍基地を一掃してくれれば、東アジアの安保環境は一転して、新たな時代を迎えることになる>(p.112)。<私が国家主席でいられるあいだに日本をアメリカの呪縛から解放して差し上げたいものです>(p.113)。天皇皇后両陛下と中国国家主席夫妻での会談での、国家主席のセリフです。「サヨク青二才」は、何を言い出すからわかりません。南沙諸島尖閣列島での中国軍の行動をどう説明するのでしょう。親中の青二才に教えます。中国は優れた原発大国です。

3、天皇

小説の中に「天皇制」、「共和制」という言葉が、ごく自然に出てきます(p.135)。残念ながら「天皇制」という言葉は、ありません。天皇は制度ではなく、伝統です。「天皇制」はコミンテルン国際共産主義運動)で使われた言葉です。ヨーロッパの歴史は君主制から共和制に動きました。つまり「天皇制」と言った途端に、過去のもの、古いもの、悪いものになります。<私たちにはどの程度まで基本的人権が認められているのでしょう>(p.159)。これは令和天皇の、内閣法制局長官との対話での発言として、小説に登場してきます。でもおかしな質問です。天皇に「人権」という用語はふさわしくありません。つまりサヨク青二才は、西洋近代の合理主義、リベラリズムマルクス主義で、日本を考え、皇室を論じています。これでは日本革命はできません。