産業革命から環境革命へ。

コンテンツ・ビジネス塾「環境革命」(2007-25)6/26塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

○世界は、産業革命から環境革命へ。
ドイツのハイリゲンダムで開かれていた主要国首脳会議(G8サミット)は、世界が力を合わせて地球温暖化防止に取り組むことを決めました(日経 6/9)。
注目は、米国の参加です。というのは、ブッシュ政権は気候変動への戦いを絶えず妨害してきたからです。京都議定書からの脱退したり、温暖化の科学的裏付けに疑ったり、ボランティアの活動を疑問視してきました(フィナンシャル・タイムズ 6/1)。
そのブッシュ大統領が、環境問題での政策を転換したのです。G8は米国も中国もインドも含めて、世界が力を合わせて温暖化に取り組むことを表明しました。そして、京都議定書が決めた2012年までに6%減に続いて、世界の排出量を50%にすることを「真剣に検討する」ことを決めたのです。
○米国の事情。共和党vs民主党
前回の米大統領選挙を戦ったのは、ブッシュ(共和党)とゴア(民主党)でした。ゴア氏の「不都合な真実」は、世界的なベストセラーになり、映画もヒットし、第79回のアカデミー賞ドキュメンタリー映画賞(長編)に、選ばれました。
「私たち(米国人)はイギリスと戦い独立を勝ち取った。リンカーン奴隷制を廃止した。第2次世界大戦ではファッシズムと戦った。ポリオと天然痘とも闘った。人種差別をなくした。月に人類を送り込んだ。つぎは地球温暖化、将来を守るために私たちはもう一度立ち上がらねばならない」
つまり環境問題は、民主党・ゴア氏の得意なテーマだったのです。ここにきて共和党・ブッシュ氏が政策を転換したのは、次の大統領選目当てです。あてにできません。あてにならないのは米国だけではありません。環境問題ではヨーロッパ諸国も責任も重大です。二酸化炭素の排出量は、米国30.3%、ヨーロッパ27.7%。つまりアメリカとヨーロッパで、世界全体の約60%を占めるのです(「『不都合な真実』主犯は米国だ」 武田邦彦 文芸春秋 2007.7)。
そればかりではありません。米国もヨーロッパの国々も、森を大切にしてこなかった歴史があります。二酸化炭素を減らすためには森が重要です(このことを、図らずも「不都合な真実」が証明しています)。ところが17世紀に、ヨーロッパの森は90%が消えてしまっているのです。「幸せのためならどれだけ森を破壊してもかまわない」。森林破壊が大開墾時代の彼らの思想だったからです(「一神教の闇」 安田喜憲 ちくま書房)。先住民族をほぼ皆殺しにしてアメリカ大陸を占領した米国人の考え方も同じです。
○日本の事情。「21世紀環境立国戦略」。
G8で、2050年までに排出量半減と主要排出国参加を、提案したのは日本の安倍首相です。ドイツの次は日本。来年7月の北海道洞爺湖サミットです。
日本の考えは、6/1に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」(以下「戦略」)にあります。
「戦略」は、まず「地球環境問題」が、21世紀人類の最大の課題であるとします。つぎに持続可能な社会を築くためには、「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」づくりに取り組む必要があるとします。そしてそれを実現するため、日本の強みである「自然共生の智慧や伝統」、「世界最先端の環境・エネルギー技術」、「公害克服の経験」、「意欲と能力溢れる豊富な人材」を活用していくのです。さらに「環境立国・日本」は、経済成長と環境保全を両立させ、アジアと世界の発展と繁栄に貢献するのです。
「戦略」はかっこいいです。説得力もあります。ところが困ったことが起こっています。京都議定書をクリアできないのです。2008年から12年平均で排出量を1990年に比べ6%減らさなければならないのに、05年には8%に増えているのです(日経 6/6)。
安倍首相は、国民に呼びかけています。「1人1日1キログラム」、二酸化炭素の排出を減らすのです。1キロがどんなものかはわかりませんが、とにかく何でもやりましょう。省エネ、ハイブリッド車、ゴミのリサイクル、リユース、リデュース、そして自然を大切にする。みんなで環境革命家になりましょう。この美しい星の未来のために。