あれから6年たちました。

コンテンツ・ビジネス塾「テロ」(2007-37)9/18塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

○あれから6年。
また9/11が、やってきました。2001年9月11日、あの日の衝撃を忘れることはできません。イスラム過激派によって4機の旅客機がハイジャックされ、2機が世界貿易センター(World Trade Center)へ、1機が国防総省(Pentagon)に、そしてもう1機は乗客の抵抗により墜落しました。ワールド・トレード・センターでの犠牲者は、2750人。追悼式典は、グランド・ゼロでの再開発工事のため、となりの公園で行われました。時は流れて行きます。2001年10月、テロへの報復として米英軍はアフガニスタン空爆を開始、11月にカブール陥落。さらに2003年3月イラク戦争開始、4月バグダッド陥落、フセイン政権は崩壊。しかし、それからの4年はこう着状態。イラクのマリキ政権は、米軍が撤退してしまえば崩壊しかねないほどの弱体です。さらに困ったことは、隣国のイランが武装勢力を支援し、「核」で中東の支配を狙ってきていることです(日経 9/15)。ブッシュが辞めれば世界は平和になる、ことはそう簡単ではありません。
○戦場のヨーロッパ。
英国は、05年7月にロンドン市街が地下鉄をはじめとする同時多発テロの攻撃を受けています。現在テロは、英国だけでなくヨーロッパ全体をターゲットにしています。ことし9月のはじめには、ドイツで、パブ、クラブそして空港への爆破計画容疑により3人のイスラム主義者が逮捕されました。またデンマークでも、8人のアルカイダ関係者が爆破計画容疑で逮捕されています。イスラム過激派といえばなんとなく、ヒゲをたくわえたアラブ人を想像しがちですが、その常識はもはや通用しません。イスラム教徒に改宗した西洋人が、パキスタンのテロ・キャンプで訓練され、爆破計画に参加しているのです。テロ=アラブ人の方程式は通用しないのです。セキュリティ・チェックは格段にむずかしくなってきています。このことを報じたウォール・ストリート・ジャーナル(WJ 9/6)は、” Battleground Europe = 戦場のヨーロッパ " という衝撃的なタイトルを使っています。
WJは、この1週間前にも、フランスのサルコジ大統領の外交政策の転換を評価する社説を載せています。「核兵器武装するイランを受け入れることはできない」と明言することで、シラク前大統領と違いフランスの親米的な政策を打ち出してきたのです。ドイツのメルケル首相もブッシュ寄り、さらにはブレアに代わったブラウン首相も親米政策を続けることを表明しているのです。
ヨーロッパでは、どこの国がイスラム過激派のターゲットになってもおかしくない。しかもテロリストはアラブ人に限らない自国人も含まれる。だからみんなで団結してアメリカとともに戦おう、これが最近の情勢だとWJは主張しているのです。
○テロ対策特別措置法。
日本での国際テロの可能性について、都民の27%がかなりあると考え、しかし自分がテロに遭う可能性になると9%に減少し、逆にほとんどないと答える人が28%に増えています(警視庁の委託による「警備心理学研究会」調査。ビジネスアイ 9/12)。私たち日本人はテロは外国でのこと、自分は安全と決め込んでいるのではないでしょうか。
テロ対策特別措置法(07年11月期限切れ)とは、テロと戦う諸外国に協力するための法律です。具体的な行動は海上自衛隊によるインド洋での給油活動です。この法律の延長に民主党小沢一郎代表が反対を表明しています。「米軍を自衛隊が支援するのは集団的自衛権の行使」だからです。「国連安保理決議がない」からです。哲学のようにむずかしい。小沢代表はテロ対策の国際行動に賛成なのでしょうか、反対なのでしょうか。それとも神国・日本はテロに遭わないと考えているのでしょうか。政治はわかりません。問題はさらに複雑です。同じ民主党前原誠司前代表が「テロとの闘いに日本も加わるべきだ」と小沢代表の見解に疑義を表明しているからです(日経9/12、9/14)。さらに、国連、国連というけれど、国連総会に日本は2年連続して、首相や外相を送れなくなりそうなのです(日経9/19)。そして、インド洋での海上自衛隊の補給実績に驚かされます。07年度は、トップがフランス48%、次が米国30%、3番手がパキスタン13%(日経9/12)。米国だけの支援ではないのです。哲学や形而上学はいりません。もっと具体的に我が身を守ろうではありませんか。