イエーイ!前代未聞の「ロックの学園」だゼーイ!

コンテンツ・ビジネス塾「ロックの学園」(2007-47)11/27塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

○イエーイ!!前代未聞の「ロックの学園」だぜーイ!
11/23~11/25の3日間だけ、「ロックの学園」が開校しました。校門には「ロックの学園」の看板がかかり、校舎も校庭も講堂もある堂々とした学校です。会場は04年に廃校になった神奈川県立三崎高校、品川から京浜急行で1時間ちょい、三浦半島の先端の「三崎口」駅下車、徒歩15分。海に囲まれ、なだらかに畑が連なり、おだやかな風が吹く、大きな空の下のキャンパスでした。
プロデュースしたのは、タワーレコードの「NO MUSIC , NO LIFE.」キャンペーンを手がけた広告クリエーターの箭内道彦(やないみちひこ)さん。校長には、もとRCサクセションのボーカルで、「愛し合ってるかい?」のメッセージで人気者の忌野清志郎(いまわのきよしろう)さんが就任しました。
設立の趣旨は、ロックの誕生半世紀、ロックを聴いて育った年輩者とこれからロックを聴く子供たちが交流してロックを楽しもうというものです。呼びかけは気楽ですが、学習の時間割は本格的なものです。体育館ライブには、「GOING UNDER GROUND」や「斎藤和義」が。中庭ライブにも有名アーティストが。大講堂では、歴史「ロック大日本史」、国語「ロックの詩(うた)」などの授業が。そして教室では、「エアギターコンテスト」(ギターを弾くマネのコンテスト)、「なりきりジミヘン道場」、「なりきりジョン・サイクス道場」(ともに有名なギタリストのコピー研究)、そして「ロック甲子園」ではバンドのコンテストが行われていました。さらにもうひとつ、ロックの学園の魅力は、「食」。そもそも学園のキャッチコピーが、「マグロ!大根!ロックンロール!」。これは三浦市がサポートしている三浦芸術祭の一部なのです。マグロ・ステーキ、大根のみそこんにゃく、マグロ・ラーメン、ライブを聴きながらのランチ、これだけでもサイコーだったのです。
○なぞの高校生バンド。
ロック甲子園で、ロック的出会いがありました。優勝は、セミプロ風のバンド。準優勝は、”スカじゃん”を着たおじさんたちのバンド、そして準々優勝が学ランを着た高校生バンド。審査員の講評がありました。「みなさん、お上手です。これからはロックにこだわらずいろいろな音楽を聞くようにしてください。賛美歌、クラッシック、ブルース・・・なんでもです」と言ったのは元NHK波田野さん、「テクニックはあります。この上、つまりプロとしてやっていくには、何かこのバンドだけという、個性が必要です」と言ったのは、現役プレーヤーのBULL松原さん。準々優勝の高校生の受賞のあいさつ、「このあと上の教室で出番があります」に誘われてついていきました。ボーカルが男子、リードギターに男子ふたり、ベースとドラムスにセーラー服にミニスカートのふたりの女子です。観客は、ステージの真ん前に男女を交えて11人、教室のうしろの方に私たちおじさんたちがバラバラと数人のライブでした。チューニングのためにジャーンとやったリードギターの音の迫力に度肝を抜かれます。「はっきり言って、下の甲子園のアンプはショボイ!」。「このトロフィーを校長に突きつけて、単位をもらってやるぜ」。ボーカルの言葉はストレートです。白い大きなマスクをしたリードギターの男子が観客を挑発します。ふたりのリード・ギターのユニゾンによるメロディは、教室を突き抜けて青空に突き刺さっていきます。セラー服のドラムスとベースギターはまったくの無表情で、力強くそして豊かなリズムを刻んでいきます。5人が5人とも、クール。彼らの音は、私たちを教室のうしろの壁に叩き付け、張り付けたままにしました。
○なぜロックか。
ロックを聴くとは、裸になることです。体全体を音の洪水の中に投げ出すことです。イヤホーンでロックを楽しむことなんてできません。胸いっぱいに音をあび、腰の骨で音楽を感じるのです。ロックを体験するとは、文明というの名のパンツを脱ぎ捨て、「猿」に戻ることです。ロックは論理で解明できないクオリア(質感)です。さらに言えば、人類としての脳の「新皮質」で聴く音楽ではなく、生き物としての脳の「大脳辺縁系」(古皮質、原皮質)で感じる音楽です。ロックは本能です。情動です。
「ロックでない奴ぁ、ロクでなし」(増子直純怒髪天)のメッセージはちょっと固いけど、「愛し合ってるかい!」は、いいですね。マグロ!大根!ロックンロール!のロックの学園を来年もよろしく!(「ロックの学園」は、来年NHKで放送予定。ウエブサイトでチェックしてください)。