コンテンツ・ビジネス塾「脳を活かす学習法」(2008-08) 2/28 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、記憶
「脳を活かす勉強法」(茂木健一郎 PHP研究所)が売れています。類書に、「脳を活かす!必勝の時間攻略法」(吉田たかよし 講談社現代新書)、「海馬」(池谷裕二 糸井重里 新潮文庫)があります。共通している大きなテーマがあります。それが記憶です。
記憶は、大脳辺縁系の海馬に短期記憶として蓄えられ整理され、大脳の側頭葉に長期記憶として蓄えられます。短期記憶はいつ整理されて、側頭葉に移植されるか。レム睡眠時にです。だから睡眠が絶対必要なのです。記憶には、意味記憶と方法記憶(エピソード記憶、出来事記憶)があります。意味記憶とは、英単語のような暗記です。方法記憶とは、難問の解決法であったり、映像や言葉による出来事の記憶です(このほか運動や楽器の演奏のように一度覚えたら忘れない、小脳などに蓄えられる「手続き記憶」もある)。30才を過ぎて爆発的に増えていくのは、方法記憶(エピソード記憶)です。この記憶をデータベースにして、大脳の前頭葉は新しいことを考え、作っていくことになるのです。茂木氏は学習を快楽にしなければならいと説きます。吉田氏は睡眠前の暗記がいいと提案します。池谷氏はエッチな連想が記憶を効率的にすると笑わせます。
2、情報の食べ方
では、何を記憶すべきなのか。それについては3氏とも何も教えてくれません。そこでコンテンツ・クリエーターはどんな情報を食べるべきなのかを考えてみます。
○情報メニューの献立表
1) Reading & Browsing
日本経済新聞、ブックファースト、ジュンク堂、広告、テレビ、ネット、ラジオ、ビデオ、DVD、CD。
2) Learning & Studying
e-learning、スクール、学会、研究会、図書館、MBA、英語。
3) Watching & Listening
映画館、ツタヤ、デパート、国立競技場、東京ドーム、美術館、ライブ、幕張メッセ、外国。
4) Dancing & Loving
メール、電話、カフェ、立ち飲み、カラオケ、クラブ、エクササイズ、レストラン、温泉、ホテル。
5) Writing & Creating
企画書、スピーチ、エッセイ、映画評論、ビジネス批評、短歌、詩、映像企画、小説、投稿。
○情報の食べ方の基本
学習の基本の第1は、情報を食べる目的をハッキリさせることです。何の仕事のために本を読むかです。何のために映画を見に行くか、なぜ国立競技場に行くか、です。基本の第2には、歩くことです。いつも現場に行くことです。新聞記者は記事を現場で書けと教わります。広告クリエーターはコピーを足で書けと厳しく言われます。つまりいつも現場で見聞きすることです。ナマの情報からオリジナリティが生まれるのです。基本の第3は、バランスよく食べることです。脳全体に栄養を与えることです。脳は新皮質(知的な人間の脳)、旧皮質(情動的なウマの脳)、古皮質(生物的なワニの脳)から構成されています。情報を食べるというと、どうしても知的な新皮質のための栄養にかたよりがちです。「知」だけでなく、「情」や「欲」を満たす情報もしっかり食べなくてはいけません。あるIT関係のエンジニアは、出張のときに3册の本を買う習慣があります。ビジネス書、アクションもの、エロ本。ズバリ正解です。知情意(欲)、脳の、新・旧・古のすべてをマッサージしているのです。
3、諸君。学校出たら、勉強しよう(日本経済新聞のキャッチコピー 1982年)
このキャッチコピーは単なるユーモアではなく、現実のものになっています。第1に、産業社会とともに始まった規格品を生産する「学校」の時代の終わりです。情報を食べて個性を育てるのです。第2に、情報社会とは情報を学習し続け、情報を発信する社会であることです。コンテンツの時代です。第3に、人間の脳が新しい情報をもとにたえず新しいものを生み出そうとしている臓器であることがわかってきたことです。人は情報を食べて生きているのです。諸君。学校出たら、勉強しよう。