ディズニー化で人生はドラマになる。

コンテンツ・ビジネス塾「ディズニー化社会」(2008-29) 7/28塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ウォルト・ディズニー(1901~1966)
ウォルト・ディズニーは、なぜアニメーションで成功したのでしょうか。
1)ウォルトがアニメを描かなかったからです。逆説的な言い方ですが、真実です。はじめウォルトも
アニメを描いていました。ところが天才アブ・アイワークスの登場により、下手な自分にチャンスはないと判断したのです。それからもっぱらプロューサーヤクに徹することになります。
2)オリジナルを作らなかったからです。白雪姫、シンデレラはドイツのグリム童話。ピーターパンもイギリスの作家バリーの原作。抜群のビジュアライゼーションとはいえ、すべてリメイクです。
3)ストーリーボードを発明したからです。ひとつのシーンをカットのつながりで構成する。その絵をボードにはり付けてみる。これがストーリーボード(絵コンテ)の始まりです。ストーリーボードにより映画制作はビジネスになります。さらにストーリーボードは投資家への契約書になるのです。
2、ディズニーランド(1955.7.7~)
ディズニーランドもオリジナルは発想ではありません。既存の遊園地の反省から生まれました。ウォルトは、二人の娘ダイアンとシャロンと遊園地を訪れたときに、とてもガッカリしたのです。
1)ローラーコースター、観覧車は作らない。2)ビール、ホットドッグは売らない。3)下品な呼び込み係はいらない。そうして、清潔で、楽しく、礼儀正しく、が生まれました。コンセプトは、1)ターゲットは0才から100才までの子ども、2)映画のように見物するのではなく、スクリーンの中に参加してもらう、3)遊園地とは違う、物語のあるテーマパークを作るのです。
しかし、ディズニーランドの企画は、なかなかオーケーになりませんでした。最後の最後になってウォルトは伝説のビジュアライゼーションに成功します。兄のロイがニューヨークのABCにプレゼンに行く3日前に、ウォルトは仲間のハーブ・ライマンを呼びつけ、徹夜でディズニーランドの完成予想イラストを描きあげるのです。ファンタジーランド、フォロンテイアランド、アドヴェンチャーランド、トゥモロウランド。一枚のイラストにより完璧な説得力を持つようになったプレゼンは、成功します。
3、ディズニー化社会(Desneyization=ディズニーゼーション=ディズニー化)
ディズニー化とは、「ディズニー・テーマパークの諸原理がアメリカ社会および世界の様々な分野に波及するようになってきているプロセス」です(「ディズニー化する社会」アラン・ブライマン 能登路雅子監訳 森岡洋二訳 明石書店)。ディズニー化には4種類あります。
1)テーマ化
物語性を組織や場所に付加することです。これにより組織や場所は意味と象徴性を与えられ、魅力的で興味深いものに変わるのです。ロックレストラン、ホテル・シャイアン、シャーロック・ホームズ・ホテル、文化遺産コンサート、自然保護動物園。
2)ハイブリッド消費(複合、混合消費)
消費形態が重なり合い、曖昧になっていく傾向。ショッピング、テーマパーク、レストラン、ホテル、博物館、映画、スポーツ、ギャンブル。代表例は、ラスベガスの変貌。ハイブリッド消費環境は、ホテル事業の強化などで、その場に滞在できる理由をたくさん訪問客に与えることで達成されます。
3)マーチャンダイジング
イメージやロゴの表示のある商品を販売促進することです。ミッキーマウス時計は1933年からのヒット商品です。もちろん失敗もあります。UCLA、UCB、9.11以降の警察官、消防士のロゴ入り商品。芸術、ダンスクラブ、バチカン市国
4)パフォーマティブ労働(感情労働、美的労働)
心から笑顔を作ること。笑顔で給料をもらっていることを忘れないようにすること。顧客はゲスト、従業員はキャスト、仕事の場はオンステージ、立ち入り禁止区域はバックステージ、就職面接はオーディション。労働は劇場の演技を同じパフォーマンス。従業員は舞台の主役です。
著者のブライマンはイギリスの社会学者です。ここでは紹介しませんが、ディズニー化の問題も指摘しています。しかし、ディズニー化は面白い。新しいビジネスの発想を与えてくれます。