あなたの会社では、グリーン・ニューディールをしていますか。

コンテンツ・ビジネス塾「グリーン・ニューディール」(2009-11) 3/24塾長・大沢達男
1)1週間分の日経、ビジネスアイとFTが、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、グリーン・ニューディール
政府が、新エネルギー振興や環境対策に積極的に財政を投入し、雇用や新産業を創出する(東洋経済3/21 P.37)ーこれがグリーン・ニューディールと呼ばれるものです。米国のオバマ大統領を先頭にして、グリーン・ニューディール(緑の政策)は、今世紀の全世界の課題になりつつあります。
1)まずグリーン・ニューディールは、歴史的に見れば新しい産業革命の始まりです。第1次産業革命は蒸気機関軽工業、第2次産業革命は電力と重化学工業、第3次産業革命がIT(情報技術)と今回の緑の産業革命になります。緑の産業革命は、脱化石燃料再生可能エネルギーと全産業領域で進行する変革です(諸富徹京都大学准教授 日経3/12)。
2)つぎにグリーン・ニューディールとは、政府の政策であり、社会の制度設計です。たとえば、オバマ大統領は、○クリーンエネルギー経済に1500億ドル投資し、500万人の雇用を創出し、○既存の製造業拠点をクリーン技術の拠点に転換し、○労働者の技術習得訓練プログラムを整備し、○燃費改善、電気自動車の開発で自動車産業の技術革新を促します。
3)そしてグリーン・ニューディールとは、環境ビジネスの時代の到来です。ビジネスの世界では、環境に配慮した企業(グリーン)が収益(ゴールド)を手にできるようになるのです(D.C.エスティほか『グリーン・トゥ・ゴールド』(村井章子訳アスペクト2008年)。環境ビジネスとは、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)を扱ったり、省エネ、新エネの取り組む企業のことです(日経3/8)。
2、制度設計
日本のグリーン・ニューディールは、政策でも制度設計でも世界から立ち後れています。
1)FIT(フィードインタリフ)。
「固定価格買い取り制度」。再生可能エネルギーへの投資を促す政策。欧州の主要国では、太陽光や風力などの電力を全量、電力会社が一般電力料金より高い価格で買い取っています。優遇買い取りは20年間続き、パネルを設置した家庭は、投資を10年で回収できる仕組みなっています。
2)スクラップ補助金
これもドイツの例です。独政府は、車齢9年以上の古いクルマを廃車にし、新車に買い替えるならば、2500ユーロ(約31万円)の補助金を支給しています。ドイツの2月の新車販売は前年同月比22%増に跳ね上がり、予想以上の効果を上げています(日経社説3/11,3/12)。
3、トップのリーダーシップ
環境ビジネスで成功するには、環境経営に信念を持って取り組む、企業トップの強力なリーダーシップが必要です(三橋規宏千葉商科大学教授 日経3/8)。
1)「電球への思いと、地球への思いが、LED電球を生み出しました」ー東芝
東芝の見開き全面広告 (日経3/2)のキャッチコピーです。左頁にベージュから黒の色調で白熱灯の「マツダランプ」、右頁にホワイトから青の色調で「LED電球」を配置した、明解で説得力があり、しかも優れたグラフィックデザインの広告です。
1890年東芝は日本で初めて白熱電球を実用化しました。しかし2010年で白熱電球の生産を中止します。時代は省エネ、長寿命のLED電球に変わるのです。
東芝は、原子力発電で世界ナンバーワン、LEDでもトップに立とうとしています。
2)「喜ぶと緑色になるクルマ」ーホンダー
緑色のキャッチコピー。これはホンダの全7dの広告(日経3/19)です。エコドライブで走ると新ハイブリッド車インサイト」のメーターが緑色になってドライバーをほめてくれるのです。2/6新発売のインサイトは1ヶ月で計画の3倍強の18,000台を受注、大ヒットになりました。
一方のトヨタも負けていません。5月に新型プリウスを発売、その時に現行プリウスインサイト並みの価格にするのです。さらに低価格のハイブリッド車の生産計画を発表しています(日経3/13)。
グリーン・ニューディールでは、国でも企業でもトップの強いリーダーシップが、決め手になる。以上の例はこのことを証明しています。