「脱」政府の新しい日本が始まっています。

コンテンツ・ビジネス塾「新しい日本」(2011-23) 6/7塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、新しい日本
日本経済新聞が新しい日本への提案をしています。まず「新しい日本を創る」と題する7回シリーズの社説の連載(日経4/30~5/9)、つぎに「新しい日本ー復興への見取り図」と題する5回の「経済教室」(日経5/10~5/16)、そして「震災とネットの役割」と題する3回の「経済教室」(日経5/3-5/6)です。さまざまな提案に共通するものがあります。1)私たちの共助(連帯)が重要である。2)やはり経済は成長させなければならない。3)政治にはまったく期待できない。
2、ポスト戦後
1)ポスト戦後・・・東日本大震災が起こった2011年3月11日から、日本は「ポスト戦後」と呼ばれる新しい時代に入りました。○1868年〜1945年。明治、大正、昭和の終戦までの77年間は「富国強兵、殖産興業」の軍事力と生産力で欧米に追いつく時代。○1945年〜2011年。終戦後の昭和と東日本大震災までの平成の66年間は「軽武装、経済成長、一億総中流」の豊かな日本の時代。3)ポスト戦後。新しい時代のキーワードは「共助」。自己責任の自助でも、公的な機関が支援する公助でもありません。回りや地域が連帯するのが「共助」です(4/30)。
2)ボランティア・・・岩手、宮城、福島、被災地で活躍したボランティアは24万人。NPOを結集し調整し資金面で支え、活動に参加しやすくなる環境を作る必要があります。企業はボランティア休暇を、大学では奉仕活動を単位にするべきです(5/9)。
3)ソーシャルメディア・・・インターネットの分権的思想は、大震災でも威力を発揮しました。草の根での被災地支援は、「阪神」のときよりさらに進化した。ミニブログツイッター」、交流サイト「ファイスブック」のソーシャルメディアの力は大きい。ソーシャルメディアが地域社会の失われた絆を強める可能性を持っています(5/9)。
3、成長
一人あたりの国民所得は世界の2位から20位以下に転落。国内総生産GDP)に対する公的債務の比率は世界最悪です。成長なくして雇用・就職難は解決しません。所得が上がり保険料が支払わなければ、社会保障制度は維持できません(5/1)。
1)復興・・・土地集約を妨げる規制を改革し「復興特区」を。一人でも反対したら再開発ができないのでは困ります。「借地による宅地・農地開発事業」ができるようにします。2/3の賛成で復興事業は加速します(5/10)。復興の中心組織として「復興街づくり会社」を提案します(5/11)。
2)エネルギー戦略・・・まず電力料金体系を見直します。ピーク時の電力料金を引き上げます。供給能力不足を補えます。つぎは分散型の電力供給です。発送電を分離し、風力、地熱、太陽光の発電会社を後押しします。そしてスマートグリッド。電力の使用状況をネットで管理、遠隔操作で電力需要をコントロールします(5/5)。電力不足は経営戦略転換の呼び水と捕えるべきです。個人消費も省エネ・省資源に変わります。エシカル消費とは倫理的で道徳的な消費。環境保護や、産地・職人の維持に配慮した買い物をすることです(5/2)。
3)TPP・・・人口減少が進む中での成長には、貿易が不可欠です。FTA(自由貿易協定)、TPP(環太平洋経済連携協定)へ参加を積極的に進めるべき、日本と世界は一体です(5/8)。
4、共助
現政権に不満で、次回の衆院総選挙で自公政権の誕生に期待しても、ねじれは続く。だから強力な政治のリーダーシップは当面、期待できません。政争に憂き身をやつし、財源の議論を回避する政治にも見切りを付けなければなりません。
「デモクラシーも市場システムも社会の『一体感』を切り崩す力があまりにも強いため、それ自体では自己完結的な装置とはなり得ない」(5/13 猪木武徳国際日本文化研究センター所長)。民主主義でも市場原理でもない、まして専制独裁と統制経済大きな政府でもない、私たちは「共助」(ネット、ボランティア、自治体)と新しい「発想」が求められる新世紀へ進もうとしています。