コンテンツ・ビジネス塾「LED電球」(2009-31) 9/1 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、照明の革命
白熱電球(ふつうのあかり)は、1879年にエジソンが発明。その約60年後の1938年に米GE(ゼネラル・エレクトリック)が蛍光灯を初めて商品化。そして約70年たち、新しい照明の革命が起きています。ラジオのチューニングライトやケータイのバックライトに使われていたLED( light-emittig diode=発光ダイオード)が、 照明に使われるようになったのです。日本では、東芝とシャープが先頭を走っています。
まず東芝は「あかりを変える。未来が変わる。LEDは東芝」の全頁広告で先制パンチを繰り出しました(日経 7/15)。それによれば、東芝には日本初の電球を作った実績がある、あかりの歴史を築いてきた企業の使命としてLED電球を発売する、のです。
それをシャープが追いかけました。「なぜ、シャープは、LED電球をつくったのでしょうか?明かりも変えていく。LEDのシャープ」(日経 8/3)。広告は、電気で半導体が光を発するLEDと、光を半導体にあて電気を作る太陽光発電は原理が同じ、省エネ生活には、太陽光発電と同じようにLED電球が欠かせない、と語りかけました。
2、LED電球
LED電球は、半導体素子(LED)を光源にした電球型の照明です。家庭にある電球用のソケットにそのまま取り付けて使うことができます。その性能はまさに革命的です。
1)消費電力は、白熱電球の1/8(東芝)。1円で約11時間使えます(シャープ)。
2)寿命は、白熱電球の40倍(東芝、シャープ)。1日10時間で10年以上使えます(シャープ)。
3)そのほか、紫外線を出さない、スイッチオンですぐ点灯、有害な水銀を含まない、ムシが集まりに
くい(シャープの広告)、などの特徴もあります。
4)使い勝手は多少違います。白熱電球の5倍の重さがあります。LED電球は半分が光ります。明るいのは真下です。そして熱を出しませんが、電源回路の熱で口金に近い所は熱があります。
LED電球のアキレス腱は価格でした。東芝は7月半ばに、従来の半値のLED電球を発売しました(店頭価格¥4,000)。シャープも8月1日に同程度の価格で発売に踏み切りました(店頭実勢¥3,880)。まだ白熱電球の30倍以上ですが、ともかく手が届く価格になりました。
高い所の電球を一生取り替えなくて済むと言う高齢者、捨てる電球のゴミが減ると喜ぶ環境派、なかにはLED電球と太陽光発電で、電力の自給自足を考える人もいます(LEDは直流電気で光ります。太陽光発電が作るのも直流です)。
3、ビジネスチャンス
LED照明は、電機業界にも革命を起こします。電球と蛍光灯の市場を牛耳ってきたのは、パナソニック、東芝、三菱電機、日立製作所、NECのたったの5社でした。
照明器具の製造には、ガラスを溶かす、放電用の材料を封じる、大量の蛍光体、電極の形・・・大規模設備や技術の蓄積が必要で、新規参入は困難でした。
ところがLED照明は、基盤にLEDを取り付ける、カバーをかぶせる、以上で簡単に製品が完成します。戦いの火ぶたは切って落とされました。異業種が続々とLED電球や照明器具に参入し価格競争を始めるのです(日経 8/30)。
LED照明の用途も広がっています。居酒屋ワタミでは店舗照明のLED化に着手、コンビニエンスストアのローソンも新設店舗にLED照明を使います。さらにセブンイレブンの新型店では、店内に太陽光を取り入れ、屋根には太陽光パネルを設置し、LED照明を使い、昼間は電力会社からの電力を使わない計画を立てています。LEDで省エネ店舗時代が始まります。
LEDの次にはさらに照明の大型新人が控えています。有機EL(electro luminescence )です。LEDが点の照明なら、こちらは面の照明、壁や天井が光るのです。
♪蛍の光、窓の雪♪。LEDの冷たい光と有機ELの広い光は、まるで「蛍の光」の歌のようです。私たちは、恋をお休みして、もっとたくさんの本を読み、もっとたくさんの仕事ができるようになります。