マルクス主義フェミニズムへの疑問。

コンテンツ・ビジネス塾「マルクス主義フェミニズム」(2009-28) 8/11 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながる
ヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、女性の時代への疑問
新規採用の面接試験、新入社員教育、学校の教師を経験した人はだれもが同じ印象にとらわれます。出来が良いのは間違いなく女性、魅力的なキャラクターも、これまた女性です。
しかしこの魅力に溢れる女性の時代のリーダー達、女性の東大教授や女性のキャリア官僚は、「マルクス主義フェミニスト(女性解放論者)」(と呼ばれる人たちです(『男は男らしく女は女らしく』渡部昇一 ワック出版)。なぜいまさらマルクス主義なのでしょうか。
『おひとりさまの老後』(上野千鶴子 法研)は、東京大学大学院の上野教授が書いたヒット作で、現在も売れに売れています。1)21世紀はおばあさんの世紀。結婚していてもいなくても最後はひとりで死ぬ。2)シングルライフをどう暮らすか、だれとつきあうか、おカネはどうするか。3)どんな介護を受けどう死ぬか。以上の問題を抜群の文章力でやさしく語る、老後のガイダンス本です。『世代間連帯』(上野千鶴子 辻元清美 岩波新書)は、上野教授と社民党辻本議員の対談本です。仕事、住まい、家族、子ども、教育、医療、介護、年金、税金、経済、社会連帯について、話されています。
その主張は、「反」国家「反」企業のマルクス主義、そして「反」家庭「反」男性のフェミニズムです。
「なに、おとこはどうすればいいか、ですって?そんなこと知ったこっちゃない」。上野教授は『おひとりさまの老後』をこう結んでいます。その主張は徹頭徹尾「反」男性です。
「ピースでエコでフェアでフェミ、歳とってもぼちぼちやれる、そんな社会がええやんか」。これが辻本議員のキャッチコピーです。一流の国家で、一流の経済で、世界に冠たる日本民族で・・・大国意識にしばられるのはやめよう。その主張も徹頭徹尾「反」国家です。
2、マルクス主義フェミニズム
なぜエリート女性はマルクス主義を選ぶのでしょうか。
1)マルクス主義だけが、ほとんど唯一の、(近代)産業社会(=資本制)についての抑圧の解明とそれからの解放の理論である。
2)家庭とは「愛の共同体」ではなく、女性を支配し抑圧する人為的な制度(=家父長制)である。家事と介護は、「不払い労働」で、女性の労働は家父長(夫)によって、領有されてきた。
3)社会主義革命は、資本制からの男の解放でしかなかった。マルクス主義フェミニズムは、「資本制」からだけでなく、「家父長制」からも女性を解放する(『家父長制と資本制』からの要約)。
さて具体的にはどういうことか。女性たちはどんな人生をの望んでいるのでしょうか。
1)結婚はあたりまえでなくなる。「婚活」をとなえるのは、時代錯誤である。
2)家庭は崩壊し、婚外出生率と離婚率が増加する。日本では非婚化と少子化となって現れているが、未婚者が中絶せずに出産すれば、少子化は解決する(フランスでは婚外出生率が50%以上)。
3)これからはシングルも離別者も、「おひとりさま」として、ポジティブなイメージの存在になる(前掲『世代間連帯』からの上野教授の発言の要約)。
3、エリート女性の特権階級化
エリート女性のマルクス主義フェミニズムに警告する、渡部昇一先生は強烈です。
1)子どもを育てる、夫の世話をする、家庭を作ることから、解放されていた女性は常にいた。それは売春婦である。2)女性の解放とは、一夫一妻性の破壊で、家庭の解散である。3)セックス・パートナーをコロコロ変えることで女性は幸せになれるのか。一夫一妻制が女性の幸福の最後を保証するものである(前掲『男は男らしく。女は女らしく』からの要約)。
マルクス主義は、史的唯物論を方法論にした、「科学」であると主張します。ですからマルクス主義フェミニストは自信満々です。「家父長制の廃棄は、個々の男性が態度を改めたり、意識を変えたりすることによって到達されるようなものではない」(前掲『家父長制と資本制』P.72)。この主張は「科学的な真理」であると譲りません。しかし「科学」は、共産党の特権階級のために豪華な別荘を作り、何百万人の反対派を虐殺してきました。これが歴史的な事実です。エリート女性のマルクス主義フェミニズムの主張に、普通の女性と同じように、男性の私も、共感できません。