クリエーティブ・ビジネス塾19「橋下徹にイエスかノーか」(2012.5.30)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、坂本龍馬
今、日本の政治家で注目されているのは、野田総理でも谷垣自民党総裁でもありません。
「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長です(はしもとは「橋本」ではない「橋下」)。
「大阪維新の会」は、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙で既成政党と戦い、圧勝しました。そして来るべき国政選挙で勝利し、さらには橋下総理を誕生させようとしています。
橋下は、1969年生まれの弁護士、2003年テレビ番組「行列ができる法律相談所」にレギュラー出演、イケメン文化人に。その後2008年に大阪府知事選に立候補し当選、そして2011年に知事を辞任し、市長に立候補し当選します。橋下を時の人にしたのは「大阪都構想」です。
大阪には、880万人の「府」と260万人の「市」の、二重行政がありました。府庁と市役所、府立大学と私立大学、府立体育館と市立体育館、そして図書館も浄水場も府立と市立が。ムダでした。大阪「都」なら、一つでいいのです(橋下徹 堺屋太一 『体制維新ー大阪都』p.164 文春新書)。
実は、日本のよいことも悪いことも大阪から始まっていました。戦後の復興は大阪から。スーパーもプレハブ住宅もカラオケも消費者金融もコンビニも、みな大阪から始まりました。そして失われた20年も、1970年の日本万国博覧会以後の低迷で、大阪が先取りしていました。
「大阪都構想」は、大阪を変えるだけではありません、大阪から日本を変えます。
橋下市長は、平成の坂本龍馬になれるのでしょうか。新しい日本を作れるのでしょうか。
2、船中八策(せんちゅうはっさく)
「船中八策」とは、坂本龍馬が1867年(慶応3)に上京する船の中で書いた8か条の国家構想です。
橋下徹市長と大阪維新の会は、選挙公約として「維新版・船中八策」を作りました。ブレーンには、元経済企画庁長官堺屋太一のほか、上山、古賀、原、山中の5人のキャリア官僚がいます。
1)統治機構の再構築・・・大阪都構想と道州制。
2)財政・行政改革・・・国会議員定数削減、公務員の人件費削減。
3)公務員制度改革・・・公務員を身分から職業へ。大阪職員基本条例(入れ墨禁止)の発展。
4)教育改革・・最高の教育を無償で提供。教育バウチャー(クーポン券)の導入。教育委員会制度の廃止もしくは抜本的な見直し(民間人を校長に、日教組からの離脱)。
5)社会保障制度・・・年金は積み立て制度に。資産のある人は掛け捨て方式。
6)経済政策・税制・・・TPP参加。外国人人材の採用。グローバル人材の育成。
7)外交・防衛・・・日米豪で太平洋を守る。国際基準の国際貢献の推進。
8)憲法・・・憲法改正(96条)を2/3から1/2へ。首相公選制、参議院の廃止。
3、ハシズム
橋下市長の快進撃と手際の良さに驚き、警戒する声が二つあがっています。
ひとつは、「ファッシズム」をもじった「ハシズム」。独裁、9条、核武装・・・過激な発言が警戒されています。政治は簡単ではない。複雑でうんざりするような調整が必要である。首相公選制で全権に近い権限を目指しているのなら危険、リーダーは国民の半歩前を進むだけでいい。国民の意志という言葉は、陰謀家や専制君主が乱用した。ナチス独裁は授権法(全権委任法1933年)から生まれている(姜 尚中東大教授『文芸春秋』6月号 p.114)。
もうひとつは、歴史観、日本観、国家観です。憲法9条が日本をダメにした、これは賛成できる。「日の丸」「君が代」はふつうの国旗・国家ではない。中国をどう見るか(中西輝政京大名誉教授 前掲p.105)。目に見えない「國體」をどう考えるか。中華人民共和国の帝国主義的政策に戦えるか(佐藤優元外務省 前掲p.111)。
ともに批判ではありません。期待している、からこそのアドバイスです。
権利の主張ばかりで鎖国する「平和と民主主義の日本」が終わります。責任と義務で世界で活躍する「日本維新」が始まります。つぎの国政選挙が楽しみです。
大阪、ヤバい!橋下徹、めちゃヤバい!