コンテンツ・ビジネス塾「中華人民共和国」(2009-36) 10/13 塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)あすの仕事につながるヒントがあります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、おかゆ。
もしあなたが中国に行くことになったら、ぜひおすすめしたいことがあります。
朝、ホテルでごはんを食べないことです。まず散歩をしてください。裏通りに入り、たくさんの人が集まっているところを探します。仕事に行く人が、毎日朝ごはんを食べている食堂(めし屋)が、必ずあります。そこに入るのです。
たいてい、おかゆを食べています。それを注文するのです。メニューの名前? そんなの知りません。
人が食べていておいしそうなのを、指差して頼めばいいのです。そして、おかずになにかを食べています。いろいろあります。それも頼むといいです(すみません。おかずの名前もわかりません)。
まず、早い。注文すれば、すぐに出てきます。そして、おいしい。旅で疲れている胃にもやさしい。消化がいいのです。さらに、安い。10元以下でオーケーです。この値段はホテルの1/10です。
中国では、言葉ができなくてあたりまえです。なぜなら、56もの民族が集まっている国だから。標準語の北京語をできない人がたくさんいます。人が食べているメニューを指差して、コレ!、アレ!では、お子ちゃまみたいですが、ここが中国のいいところ、無問題(モーマンタイ=問題ありません)です。
なにー? ツアーで朝食がタダでついている。そんなものキャンセルして外に食べに出てください。
2、建国60周年。
中国最後の王朝・清(1644~1912)は、1912年に中華民国(現台湾)に変わり、そして1949年に中国共産党の指導する中華人民共和国(People's Republic of China=China)が誕生します。二週間前の10月1日は、毛沢東が天安門広場で建国を宣言してから満60年、大規模な祝賀行事が行われました。
中国は世界の中心になっていきます。1)時代は、米国式の「金融資本主義」から中国式の「国家資本主義」へと変わっていく。世界的な経済危機を救っているのは中国経済の成長力ということもできる。2)間もなく中国は、日本を抜いてGDP(国民総生産)で世界第2位の経済大国に、さらには米国も射程にいれている。3)中国には、2兆ドルの外貨準備と8000億ドルの米国債があり、米国経済を左右するほどの力がある。
もちろん問題点もあります。1)一人あたりのGDPは日本の10分の1。平均寿命、就学率、乳幼児の死亡率に後進性がある。2)共産党指導は、政治腐敗の温床になっている。富裕層には共産党、国家の高級幹部やその子弟(太子党)が多い。3)建国の軍事パレードに登場した、弾道ミサイル「東風31A」をはじめ52種類の装備はすべて国産。中国の軍事大国化は世界中の国々が懸念している。
中国には、「中華思想」があります。それは、自分たちが世界の中心で文明の中心という考え方です。この考えは許されませんが、事実は複雑です。世界史の中で中国は常に先進的な文明を持つ先進国でした。中国が「後進国」になったのは、清の最後の頃と、20世紀だけでした(『中国建国60周年』国分良成 慶大教授 日経9/23、大沼保昭 明大特任教授 日経 9/24)。
3、日中友好。
20世紀に日本は中国に進出しましたが、1972年の田中角栄首相と周恩来総理の日中共同声明により、仲直りします。むかし日本は、中国から漢字を輸入し、遣隋使や遣唐使を送り、文化を学びました。そして近代から現代、中国からは小説家の魯迅(ろじん)(1881~1936)や現政権の後継者になる有能な若者が日本に留学しています。私たちにも日中友好はできます。金持ちの日本人として、ホテルで威張っているのではなく、街に出掛け、中国人の兄弟としておかゆを食べるのです。
ひとつ問題があります。中国には世界最多の3億3800万人のネット使用者(網民)がいますが、中国はネットの検閲システムでも、世界の最先端になってしまっていることです。若者たちの政府批判のパンクロックすらネットから削除されています。(『巨大中国建国60年』読売10/4)。
10/1の軍事パレードでは、旅客機の全面発着禁止、そして市民が飼っている鳩すらも飛べなくなりました。中国の若者は日本のアニメや音楽を愛し、日本製の化粧品でおしゃれをしています。祝建国60年。中国指導部に、歌(芸術)と鳩(平和)にもう少しの自由を、お願いします。