ロボットによる戦争の潜在軍事大国・ニッホン。

コンテンツ・ビジネス塾「ロボットによる戦争」(2010-40) 11/2塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ルンバ
家庭用掃除ロボット「ルンバ」をご存知ですか。直径34センチ高さ9センチの円盤型の掃除ロボットは、2002年に米国に登場し、世界40カ国で400万台を売る大ヒット商品になりました。ルンバは階段から落ちません、エネルギーがなくなれば、自分で基地に戻り、体力を取り戻します。つまり、掃除機に革命を起こした自分で判断し自分で行動する掃除ロボットです。
ルンバを開発したのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)出身の3人によって設立されたアイロボット社です。実は、ルンバは米空軍用に開発されました。滑走路からクラスター爆弾を片付けていました(『ロボット兵士の戦争』p.39 P.W.シンガー 小林由香利訳 NHK出版)。クラスター爆弾とは親子爆弾。大きな爆弾からのいくつもの子爆弾が飛び出す破壊力が強いものです。しかし子爆弾は不発弾が多く危険なものでした。ルンバはその危険から兵士を守るために活躍していました。
アイロボット社にはもうひとつの軍事用のヒット商品があります。パックボット(PackBot)です。こちらはイラクで活躍中。街に仕掛けられた爆発物を片付ける危険な任務をこなしています。戦車のようなキャタピラーを持ち、階段を上り岩をよじ上り、水深1.8mに耐え行動します。高性能カメラと伸縮するアームを持ち、爆発物に近づき「かぎ爪」を使って分解します。重さ19キロ、値段15万ドル(約1500万円)、2008年時点で米軍に3000台納入されました。
2、戦争の革命(RMA=Revolution in Military Affairs、軍事における革命)
人類はいよいよロボットによる戦争を始めています。「最初は、人類だけで機械はなかった。それから、人類は機械を手にした。そしてついに、機械だけで人類はいなくなった」(前掲書 p.284 )。
1)無人航空機プレデター(UAV=Unmanned Aerial Vehicle)
プレデターは大型無人偵察機です。全長8m、重さ510kg(異常に軽い)、滞空時間24時間、7900m上空も、敵の勢力地域の低空も。ゆっくりと飛ぶことができます。テレビカメラ2台(昼間用と夜間用)を持ち、最近では空対地のミサイルも装備。2008年時点で5300機が就役しています。
2)小型無人軍事偵察機レイブン
レイブンは、全長1m、重さ2kgの小型。兵士は模型飛行機のように投げて飛ばします。高度120mを90分間、赤外線カメラなど3台を使い周辺を偵察します(前掲書 p.60)。ビルの向こうに誰がいるのか、山の裏側に敵はいるのか、すべてロボットが教えてくれます。
3)戦争の革命
「ロボットは腹が空かない」「ロボットは恐れない。命令を忘れない。隣のやつが撃たれても意に介さない」(前掲書 p.97)。さらに現在ロボットに金を出しているのは軍。軍が欲しいのは、人を殺し、命令に従い、命を気にかけないロボットです。戦争の革命は私たちを未知の世界に連れて行きます。
3、軍事大国・日本
イラクやアフガンの無人飛行機のパイロットは米国本土にいてロボットによる戦争を戦っています。
1)オフィスに出勤し、敵を爆撃し殺害する12時間の戦争をし、クルマを運転しわが家に帰り、夕食をとりながらこどもと宿題の話をしています(前掲書 p.502)。
2)無人飛行機のコントロールパネルはゲーム機そのものです。テレビゲームで培ったスキルが役に立ちます。パイロットは実際に飛行機を操縦できなくていいのです(前掲書 p.526)。
3)戦争の映像はユーチューブにあります。「戦争ポルノ」として人気のコンテンツになっています。自らが傷つくことはあり得ない戦争はゲームでしかありません。だからゲームが好きなように、みんな戦争が好きになります(前掲書 p.474)。
ロボットによる戦争とは、オタクたちの戦争です。日本には戦争への潜在能力があります。まずロボットの先進国。そしてゲーム大国。日本は、最先端の兵器と最優秀の兵士を、用意できます。
これ以上、政治の不毛を続けると独裁者が現れます。独裁者は平和憲法を守り、「民間軍事会社」を使い自衛隊を強化します。それに理想主義的な平和主義者と良心的なリベラリストが協力します。そのとき日本は世界最強の、ロボットによる軍事大国に、なります。