留学生を増やせば、日本は復活する。

コンテンツ・ビジネス塾「日本の針路」(2011-4) 1/31塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、2011年への提言
元旦社説のおとなしさにがっかりし、新聞の終わりだ、という感想を持ちました。しかし「2011日本の針路」(日経1/5~1/11)は面白かった。まだまだ、新聞は終わっていません。
青木昌彦スタンフォード大学名誉教授は「日本と中国の経済交流」を、田中明彦東京大学教授は「アジア唯一の例外としての日本の終わり」を、玄田有史東京大学教授は「負け組から脱出するアニマルスピリット」を、松本大マネックス証券社長は「日本人の競争力強化」を、山内昌之東京大学教授は「日本と中国の厳しい外交関係」を、それぞれが大胆に書きました。
2、日本は凋落と無気力から脱出できるか。
1)一流大学は1/4を留学生にしろ。
日本の問題点の第1は、個人の競争力が落ちてきていること。就職試験でも、米国や中国で教育を受けた日本人ではないものを採用する企業が増えている。どうして学力は低下したのか。「大学全入」時代になったから。そこで、日本の大学の定員の1/4を英語を話す外国の学生に割り当てる。これで学力は上がる。しかも全員が英語をマスターできる(松本)。
日本は「みんな負け組」。重要なのは不活動より活動に駆り立てられる人間本来の衝動=アニマルスピリットである。フリーランチ(ただ食い)を期待する依存体質から脱出すべきだ(玄田)。
2)物いえない子孫から泥棒をするな。
国家予算は90兆円、税収は40兆円、残りは国債50兆円。国債を国民の預貯金を元手に買っている。1500兆円の膨大な個人金融資産が高リスク低リターンの国債に回っている。これは資源の無駄遣い。そもそも予算が収入の倍以上あるのはナンセンス極まりない。我々は物いえない子孫から泥棒をし続けていいのか。縮小財政にすべきである(松本)。
3)世代別選挙区を作れ。
高齢者が力を持ちすぎている。高齢者は社会の病気であるデフレを歓迎している。今あるもを守る、今あるもので食いつなぐでは、新しい価値・競争力を創造できない。デフレがいい、では未来は尻つぼみである。「世代別選挙区」は無理か?・・・だとするとインフレしか道はない(松本)。
3、中国とどうつきあうべきか。
1)島嶼(とうしょ)部攻撃に対応し、偽装された侵略を阻止せよ。
中国には華夷秩序観(華=中国、夷=外国=野蛮な異民族)、中華意識(中華=中国が世界の中央にある文化国家)がある。中国共産党の独裁統治体制が続く限り、尖閣列島東シナ海でも緊張増大は続く。新防衛大網で島嶼部攻撃に対応する意思を示したことは当然である(山内)。
2)英語もしゃべれぬ日本人の時代は終わった。
日本はアジアで唯一の欧米諸国に連なる列強で、南北問題でアジアで唯一の北側、そして主要国首脳会議で欧米以外の唯一の参加国だった。20世紀は「例外としての日本」の時代だった。しかしその時代は終わった。しかも欧米と発展途上国をつなぐ架け橋でもない。英語もしゃべれぬ日本人に頼る必要はないからだ。日本には新たな世界戦略が必要だ(田中)。
3)それでも日本と中国には相互支持の潜在性がある。
日本、韓国、中国は、野性の雁(がん)が浮力効率を高めるためのV字形の隊形で飛ぶようにして、成長をしてきた。いまの日本には年金、健康保険そして消費税の問題がある、中国には、かつて日本が経験した環境破壊、都市・農村間の所得格差の問題がある。日本には中国の成長が必要で、中国は日本の社会・経済的な技術が必要である。これを戦略的補完性という。日本が雁行(がんこう)の先頭であり続けるためには、移民規制の緩和、TPPへの積極的関与が必要である(青木)。
以上。5人の中では、留学生、赤字国債、デフレを論じた、学者ではない松本社長が光ります。中国では山内、田中が強硬論。青木はノーベル賞候補者で、中国の大学関係者らしく日中の互恵を説きました。しかし世代間協力、移民、TPPの主張で国際競争力強化の松本と重なってきます。
ビジネス塾の結論は、英語とドラッカーの学習による、私たち自身の競争力の強化です。