『英国王のスピーチ』から、何を学びましたか。

コンテンツ・ビジネス塾「スピーチ」(2011-15) 4/20塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、『英国王のスピーチ』(The King's Speech)
英国王のスピーチ』は、2011年アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞を獲得した、イギリスとオーストラリア合作の映画です。
父、国王の死後、兄が恋愛沙汰で王位を投げ出しために、弟は予期せぬままに王位を継ぐことになります。しかし弟は吃音(きつおん)コンプレックス、スピーチがまともにできません。新国王は妻の献身とスピーチ矯正の専門家(治療師)の力により、秘密の特訓を始めます。
父の国王とはジョージ5世、王位を継がなかった兄はエドワード8世、新国王はジョージ6世で現在の女王エリザベス2世の父親、現実の英国王室の実話をもとに作られた映画です。
映画にはもちろん子供時代の女王エリザベス2世が登場します。20万円をかけた1週間の英国旅行より、2000円もいらない映画館でたっぷりと英国を味わえます。
2、吃音の矯正
吃音でうまくスピーチができないのは、発声の仕方や話し方の巧拙(うまいへた)などのテクニックの問題ではなく心の問題だと、治療師は考えます。
1)プライド・・・まず治療師は治療のために国王のプライドを捨てることを要求します。治療師の前では偉そうな態度を取らない。ありのままの自分、はだかの自分でいることを要求します。
2)父と兄・・・プライドとは、厳しい父が躾(しつ)けたものでした。プラモデルは禁止、内気な性格を父は許しませんでした。さらに自由奔放の兄にからかわれ、弟は頭が上がりませんでした。
3)乳母・・・新国王には暗い過去がありました。左利きとX脚の矯正。そして乳母による虐待。新国王は、いつも自分ではない、だれかであるように求められてきました。
まず新国王を支えるのは妻、そして実際に吃音を直す治療師。治療師は思い切った治療に挑戦します。大音量で音楽を聴きながら、朗読をさせる。すると新国王は、すらすらを読めてしまいます
3、スピーチとディベート
スピーチ(speech=演説)は明治時代の福沢諭吉のころに輸入されます。同じく、ディベートも(debate=討論)紹介されましたが、こちらの「言い争い」は日本の「和」になじまず、ずっとほこりをかぶったまま、最近ようやく注目されています。スピーチもディベートもコミュニケーションの基本です。その構造は論理です。論理とは数学の証明です。主張の理由を3つあげて説明することです。スピーチは、イントロ、ボディ、エンディングの3部構成。そしてボディも3部構成です。
(主張)平和への交渉は失敗しました。戦争せざるを得ません。
Over and over again we have tried to find a peaceful way out ・・・But it has been in vain. We have been forced into a conflict.
(理由1)文明の秩序が致命的な挑戦を受けています。・・・the challenge of a principle would be fatal to any civilized order in the world.
(理由2)条約や約束は、軍事力で踏みにじられ、国家の主権と独立が侵されています。・・・to disregard it treaties and its solomon pledges ; which sanction the use of force , or threat of force , against the Sovereignty and independent of other states.
(理由3)平和、正義の安全、国家間の自由、すべての希望は消え去ろうとしています。・・・all hopes of settle peace and security of justice and liberty among nations would be ended. (結論)立ち上がってください。静かにしっかりと結束して。試練のときです。
I ask them stand calm , firm and united in this time of trial.
(“THE KING'S SPEECH" P.165~166 MARK LOUGE AND PETER CONRADI , Quercus)
スピーチはまず内容、原稿です。新国王のスピーチでの成功は、妻と治療師の献身もありましたが、国王として国民に話掛けねばならないことがあったからです。
ビジネスでのスピーチでは、まず3つの箱をうめて原稿を作ってください。そしてあとは練習です。聴衆を動かしたか、競争相手に勝てたか、商売になったか、の3点で成功は判断できます。