クリエーティブ・ビジネス塾21「東京スカイツリー」(2012.6.5)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、幸せの予感
東京にそして日本に、奇跡が起きようとしています。5月22日、東京スカイツリーがオープンしました。そのプレイベントとして21日に、東京では173年ぶりに金環日食が観測できました(日本での広範囲の観測は932年ぶり)。そして23日に、カナダ・ケベックで開かれたIOC(国際オリンピッック委員会)理事会で、東京が2020年夏季五輪の候補地に選ばれました。さらに25日に、新潟県佐渡市でトキのひなが巣立ちました。国内での野性のトキの繁殖は38年ぶりのことです。奇跡が始まりました。東京タワーで飛躍した日本のように、東京スカイツリー完成で、日本は快進撃を開始します。
東京タワーは、1958年(昭和33年)に完成、59年に当時皇太子であった、今上天皇がご成婚、そして64年に東海道新幹線が完成、東京オリンピッックが開催されています。経済成長は軌道に乗り、日本は世界一豊かな国になっていきます。
東京スカイツリーの未来には何が待っているのでしょうか。2020年の東京オリンピッック。そして2027年の中央新幹線(リニアモーターカー)の一部開業(首都圏→中京圏)。経済の豊かさだけではない、新しい日本が始まります。
2、東京スカイツリーの魅力
夢を語る前に、足下(あしもと)から、東京スカイツリーの収支と繁栄を考えます。
第2展望台(天望回廊)まで登ると、大人3500円、小学生1900円です。高い。大人料金は東京タワーの1420円の2倍以上です。収入見込みは201億円。東京ソラマチの賃料95億円+テレビ局からの施設利用料30億円+入場料76億円です(支出はタワーの人件費広告費74億円+東京ソラマチの人件費広告費66億円+減価償却費53億円+営業利益8億円)。毎年8億円以上の利益を予定、その利益を支えているのが高く設定された入場料です(日経5/23)。
国内レジャーは(1000円=滞在1時間)が料金の上限とされています。ディズニーランドは(6200円÷滞在8.7時間=712円)、映画は(1800円÷滞在2時間=900)。比べて東京スカイツリーは(3500円÷滞在1.5時間=2000円)、上限の2倍の高い料金設定になっています(見物客のアンケートでは、半分近くの人が、1000円から1500円が妥当とと答えています。日経5/23)。
東京スカイツリーには料金設定に見合うだけの魅力と日本を繁栄に導く力があるでしょうか。
第1、東京スカイツリーは美しい。武蔵の国にちなんだ634m(ムサシ)の高さの塔には、地震の揺れを軽くするために法隆寺などの五重の塔にある「心柱(しんばしら)」があります。そして伝統建築にある「そり」「むくり」の豊かな曲線があります。日本の伝統美があります。
第2に、東京スカイツリーは見晴らしがいい。天望回廊は900人収容。445mから最高到達点451.2mまで歩いていけます。天望デッキは2000人収容。340m、345m、350mの三層構造です。分速600mのエレベーター、「粋(いき)」「雅(みやび)」を演出するLED照明。日本の最新技術が生かされています。
第3に、東京スカイツリーの鉄骨には一つとして同じものがありません。日本の屈指の職人が溶接で組み立てました。東京スカイツリーには匠(たくみ)の技(わざ)が生かされています。
3、東京2020オリンピッック
東京スカイツリーと東京2020オリンピッックの日本繁栄へのコンセプトは同じです。
第1に震災から復興しつつあり、復興した日本を見せることです。第2に東京の下町地域、浅草・両国などの魅力を世界に発信すること。さらに、東京と京都を結ぶゴールデンルートに加え、東京と日光・鬼怒川、東北を結ぶ第2の太い観光ルートを作ることです(日経社説5/23、5/25)。
東京2020オリンピックのライバルは、マドリッド(スペイン)、イスタンブール(トルコ)です。東京は「宿泊」「輸送」「安全と警備」でトップの評価を得ています。問題は東京はIOCの調査で支持率が47%と、他都市の70%に比べ低いことです。
「天」の金環日食は日本を支援し、「地」のトキは日中友好の象徴、アジアの繁栄を約束しています。問題は「人」、私たちのやる気。早起きして働きましょう。日本の奇跡はそこまで来ています。