スティーブ・ジョブズが残した3つのメッセージ。

コンテンツ・ビジネス塾「スティーブ1」(2011-46) 11/25塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、スティーブの遺言
スティーブ・ジョブズが、私たちに残した3つのメッセージがあります。ひとつは、マッキントッシュ発売の時に制作された『1984年』のCMです。次は、アップルを追放されていたスティーブが復活して制作したCM、1997年の『Think different』。そして3つ目が、2005年スタンフォード大学の卒業式でのスピーチ『Stay hungry. Stay foolish.』です。
2、3つのメッセージ
1)マッキントッシュのCM『1984年』(1984年制作)
丸坊主の収容者たちが行進させられている。行く先の講堂では、独裁者(ビッグブラザー)が、説教をしている。「・・・我々は『純粋なイデオロギーの楽園』を創造した。・・・勝利するのは我々だ」
○赤のランニングパンツ、Tシャツ姿の若い女性が乱入し、ハンマーを独裁者が写るスクリーンに投げつける。メッセージが現れる。「1月24日に、アップルはマッキントッシュを発表します。そのとき、なぜ1984年が、『1984年』のようにならないかが、わかります」)
1984年』とは、ジョージ・オーエルの小説の題名です。映画監督リドリー・スコットが、そのパロディーとして、CMを演出しました。独裁者とはIBMです。CMはアップルの反逆を描きました。
2)アップルの企業CM『Think different』(1997年制作)
○モノクロ映像で、アインシュタインガンジージョン・レノンボブ・ディランピカソエジソンチャップリンキング牧師・・・20世紀の偉人、天才が次々と登場してくる。
"Here's the crazy ones. The misfits. The rebels. The troublemakers. The round pegs in the square holes. The ones who see things differently. They're not fond of rules. And they have no respect for the status quo.You can quote them,disagree with them,glorify or vilify them.About the only thing you can't do is ignore them.Because they change things.They push the human race forward.And while some may see them as the crazy ones,we see genius.Because the people who crazy enough to think they can change the world are the ones who do."("STEVE JOBS"WALTER ISAACSON SIMON&SCHUSTER)
「クレージーな人たちがいます。順応できない人。反抗する人。ごたごたを起こす人。不可能に挑む人。彼らのものの見方は違います。ルールが嫌いです。そして現状を認めません。彼らを引き合いに出し、反対したり、ほめたり、けなしたりできます。だけど、彼らを無視することだけはできません。彼らは物事を変え、人類を前進させているからです。クレイジーな人たち、と言う人がいるかもしれませんが、天才だと思います。なぜなら、世の中を変えられると考えるクレージーな人たちだけが、世の中を変えているのですから」(訳は大沢)
「think」とは、IBMのスローガンです。アップルはここでも、「different」とIBMに異議を唱えました。
3)『Stay Hungry. Stay foolish.』2005年スタンフォード大学でのスピーチ。
ティーブは自らの体験談の中から3つのことを話しました。一つは、生い立ちとリード大学中退。ふたつ目は、 アップルから追放されたこと。そして三つ目は、がんと診断された今のこと、です。
「死を想像することが、何かを失うのではないかという、煩悩から逃れる最良の道です。私たちはすでに生まれた時のように裸です。心のままに生きればいいのですから」。そしてスピーチは、「Stay hungry.Stay foolish」(いつまでもハングリーで、いつまでもおばかさんでね)と結ばれます。
3、プロデューサー
ひとつ忘れてはならないことがあります。3つのメッセージはどれも、スティーブの原案ではないということです。『1984』と『Think different』は、リー・クロウという広告代理店のクリエーター。『Stay hungry.Stay foolish.』は、アーロン・ソーキンという脚本家のアドバイスによるものです(『スティーブ・ジョブズ』1&2 ウオルター・アイザックソン 井口耕二訳 講談社)。なーんだと、がっかりするなかれ。仕事はバンド(チーム)です。ギターとドラムスがあって、始めて歌が歌えます。さらにその上にはプロデューサーとして、スティーブ・ジョブズがいます。