スポーツカーに乗ろう。

コンテンツ・ビジネス塾「スポーツカー」(2011-51) 12/26塾長・大沢達男
1)1週間分の日経が、3分間で読めます。2)営業での話題に困りません。3)学生のみなさんは、就活の武器になります。4)毎週ひとつのキーワードで、知らず知らず実力がつきます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、東京モーターショー
自分のクルマを持つ楽しみって何でしょう。第1に自由。誰にも束縛されない自分だけの空間を持てることです。第2に愛。好きな人といつでもどこへでも二人きりで外出できることです。第3にお洒落。街でハイウェイで駐車場で人に見られ、かっこいいと羨望の眼差しを受けることです。
東京モーターショー2011」が、12/3から12/11まで、会場を幕張メッセから東京ビッグサイトに移し、24年ぶりに東京で開かれました。高度成長の頃のモーターショーといえば、晴海でした。ちょっと場所は違いますが、東京で開かれるモーターショーには感慨深いものがあります。
今回のテーマは、エコ(環境性能)+クルマの楽しさ。日産は、EV(電気自動車)に力強い加速をプラス。ゼロ→100km/hを5秒以内でクリアする「エスフロー」を展示しました。ホンダは、ハンドルの代わりに自転車のようなレバーを採用しました。運転新次元のEVスポーツ車のEV-STERです。トヨタは、小型で街の移動が楽しい、4人乗りのEV、「FT-EV3」です。
2、炭素繊維
電池が重いHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)では、軽量化が問題になっています。切り札として注目されているのが、軽くて強い炭素繊維(carbon fiver)です。これは日本の技術。東レ帝人三菱レイヨンで、世界シェアの7割を占めています。
1)炭素繊維は、鉄に比べて重さが4分の1、強度が10倍あります。しかしコストがかさむ、加工がむずかしい、リサイクルに問題があります。
2)ゴルフシャフト、テニスラケット、釣り竿、航空機に使われています。東レ炭素繊維を使った世界初の旅客機ボーイング787開発のために、ボーイング社と長期大型契約を結びました。
3)クルマの世界では、帝人と米ゼネラル・モーターズGM)が炭素繊維を使った自動車用部材を共同開発することになりました(日経12/9)。帝人トヨタ、ホンダに炭素繊維の納入実績があります。東レは独ダイムラー合弁会社を設立し、メルセデス・ベンツのための部材を開発・生産します。東レも日産、三菱自動車に納入実績があります。また三菱レイヨンは独BMWのEVのために炭素繊維の原料を供給します。三菱もトヨタや日産に納入実績があります。日本の3強が欧米大手自動車メーカーと組み、軽量化の新技術を競っています。
3、自動車産業の未来
まず注目しなければならないのはGMです。長い間世界に君臨してきたGMは、技術の自前主義を捨てます。炭素繊維での帝人との提携だけではありません。EVとEV用電池では、韓国LGグループと共同開発、さらにEVでは、上海汽車集団とも提携、そして米国内でも電池技術ベンチャーA123システムズと連携します。GMは、横の連携で低コストを実現します(日経12/9)。
次はヨーロッパです。BMWはEVを住宅や電力会社のネットワークでつなぎ、街づくりに組み込んでいくことを考えています。ヨーロッパは、EVと外部をつなげる通信技術「オートザー」で世界標準を目ざしています。エンジンを制御する通信システムがネットと繋がります。
日本はちょっと違う方向に向かっています。ホンダは12年1月に米ミシガンで開催される北米自動車ショーに「NSXコンセプト」を出展すると発表、2005年に撤退したスポーツカー「NSX」の後継モデルを3年後に発売します。ハイブリッド車です。ホンダは08年にF1(フォーミュラーワン)から撤退しています。復活するのでしょうか。私たちの耳には、ランボルギーニフェラーリとは違う、低音で力強いホンダサウンドまだ耳に残っています。期待されます。
そしてトヨタは、12年春に小型スポーツ車「86(ハチロク)」を発売します。A級ライセンスを持つ、豊田章夫社長ならでは決断です。さらに日産もスポーツ用エンジンを量産車に搭載しスポーツブランド「NISMO(ニスモ)」を再強化します。前述「エスフロー」はフェアレディZの後継です。
自由と愛とお洒落とは、スポーツカーのことです。日経は、日本のメーカーがITの変化に対応していないと嘆き(日経12/4)が、いらぬ心配です。現在、化粧品に熱中している中国市場を考えたとき、スポーツカーは適切な選択です。そして日本の若者にも、自由が欲しい、と叫んで欲しいのです。