食べないことが、アンチエイジングになる。なんて。

クリエーティブ・ビジネス塾23「食べないアンチエイジング」(2012.6.20)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、「食べない」健康寿命
燃えるような恋をすること、おいしいものを食べること、このふたつは人生の大きな楽しみです。ところが飽食の日本では、「食べない」が人生を豊かにすると、注目を集めています。
まず「食べない」は、健康寿命(介護がなくても元気でいられる)をのばします。
2010年の健康寿命は男性が70.42歳(平均寿命79.55歳)、女性が73.62歳(平均寿命86.30歳)。厚生労働省は、この健康寿命が平均寿命の伸び率を上回ることを目標にした「健康日本21」の政府計画をまとめました(日経6/2)。健康寿命をのばすには、まず生活習慣病を予防すること。がん、脳卒中、心臓病の三大死因の死亡率低下と糖尿病を減らすこと。つぎは喫煙率と飲食店での受動喫煙を減らす。そしてメタボ(メタボリックシンドローム=メタボリック症候群=内臓脂肪症候群)にならないために、体重を増やさないこと。政府は1日に歩く平均歩数を定めました。男性(20~64歳)は、7841歩から9000歩(約6.3キロ)へ、女性(20~64歳)は、6883歩から8500歩(約6キロ)へ引き上げました。健康のためには、「歩く」、そして「食べない」。
2、「食べない」アンチエイジング
エイジング(aging)は老化、アンチ(anti)反対。アンチエイジングとは、抗老化。老化しないこと。
はじめアンチエイジングは、シワやタルミ、美肌を作る外面的なアンチエイジング、美容界の話題でした。そして現在は老化防止の内面的なアンチエイジング予防医学の話題になっています。
アンチエイジングには、食事、運動、精神療法、サプリメント、ホルモン補充療法などがあります。画期的なのは、「食べない」アンチエイジングの発見です。
まず1935年クリープ・マッケー博士(米コーネル大学)が、摂取カロリーを30%減らしたマウスがそうでないマウスに比べて、寿命が40%のびることを確かめます(『アンチエイジング医療のすべてがわかる本』p.70 秀和システム)。このことがCR(Calorie Restriction=カロリー制限)研究に火をつけ、そしてついに2009年リチャード・ウェンドルック博士(ウィスコンシン大学)が、アカゲザルを使った20年の研究結果を、世界的な科学誌『サイエンス』に発表します。
カロリー制限をしたアカゲザルは寿命がのびる。つぎにカロリー制限で病気にかかることが少ない。そしてカロリー制限で毛並みがよく白髪も少なく若々しい(『日経ヘルス』2010.12 p.146~p.147)。
ウェンドルックス博士は、「アンチエイジングサイエンス最前線」(産経デジタル主催 2012.6.7 渋谷公会堂)で講演し、カロリー制限の成分模倣をしたサプリメントが開発可能であると発言しました。
ただし、「食べない」アンチエイジングの結論には注意が必要です。まずカロリー制限だけをしてビタミン、ミネラルが不足しないようにするのはむずかしい。つぎにカロリー制限は骨粗鬆症、骨を弱くする可能性がある。さらにカロリー制限は過食の場合は有効だが、若者には危険である。カロリー制限へ注意や反対意見の学者がいることです。
3、「食べない」自然死
「食べない」で健康に生きる。つぎに「食べない」で歳をとらない。そして最後は、生き方ではなく、逝き方(死に方)。「食べない」で死ぬことが話題になっています。
話題のベストセラー『大往生したけりゃ医療とかかわるな。「自然死」のすすめ』(中村仁一 幻冬社新書)には、断食往生、食べないで死ぬ方法が書かれています。
現在の医療はおだやか死を妨害しています。心臓マッサージ、気管の切開、人工呼吸器、胃瘻(いろう)による栄養、水分の補給、人工透析、輸血、強力な抗生物質などの使用を拒否し、自然死を選ぶのです。中村流「断食往生」の具体的行程は、
1、五穀断ち7日間(五穀とは、米、麦、粟=あわ、豆、黍=きび、または稗=ひえ)
2、十穀断ち7日間(十穀=じっこくとは、食べ物すべて)
3、木食7日間(木の実だけを食べる)
4、水断ち7日間(前掲書p.202)、
「食べない」自然死は、枯れ木に似て、おだやかで恍惚としたものです。