柳井正に学びます。柳井正を応援します。

クリエーティブ・ビジネス塾24「ユニクロ(FR)」(2012.6.27)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、志(こころざし)を持つ
企業の求人広告に感動することがあるでしょうか。広告を読み返すことがあるでしょうか。それも何度も。そして覚えてしまいたい、と思うようなことがあるでしょうか。
ファーストリテイリングユニクロを運営する会社)の求人広告(日経6/17 全15段)は、広告のお手本のみならず、人生の教則本といえるような格調の高いものでした。
キャッチコピーは、「同志求む」。まず「生きるとは一生かけて自分を発見すること」だと説きます。つぎに一人前になるには「情熱を持ち、自己を革新すること」だといいます。そして日本の復活とは、世界で生き残ることだ、「国境を捨て世界に出る」と宣言します。さらに「挑戦しなければ人生ではない」と結びます。
ファーストリテイリングの志とは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」、ことです。
求人をしているのは、株式会社ファーストリテイリングとその配下にある、株式会社ユニクロ、株式会社ジーユー、株式会社リンク・セオリー・ジャパンコントワー・デ・コトニエ株式会社です。つまり柳井正が会長・社長を務めるユニクロを中心にした企業グループです。
「生きるとは一生かけて自分を発見すること」、「情熱で自己を革新する」。
どこの大学の先生がこのようにわかりやすく人生を説いたでしょうか。
2、服のチカラ
ユニクロは昨年も、感動的な広告を掲載しました(日経2011年3/1)。
キャッチコピー「服のチカラ」。服には人を幸せにするチカラがあることを実例で説明しました。
まず、商品のリサイクル。ネパールの難民キャンプに、日本からのリサイクルで送られてきたユニクロの服を着た、女性に出会った。彼女はユニクロの服とも知らずに、希望の土地に旅立っていった。
つぎに貧困のバングラディッシュユニクロは現地で、服の素材の調達から生産販売までの、事業を立ち上げた。現地の人に仕事ができた。1ドル(80円)以下でTシャツを買えるようになった。農村の女性が下着をつけるようになった。収入が増え、子どもたちが学校に行けるようになった。
さらに障がい者の雇用。全国の店舗の9割以上の店で障がい者が働いている(注:ユニクロ障がい者雇用で断然トップの企業である)。服には人を思いやるココロが必要である。
そして結論。本当によい服は、世界のチカラになる。MADE FOR ALL ユニクロ UNIQLO
できたらいいな。ボランティアをしてみたいな。服のチカラを私たちのチカラにしてみたくなりませんか。ユニクロは私たちの夢を先取りして実現しています。だれか政治家が、このような感動的な話をしてくれたでしょうか?実績はともかく夢だけでも語ってくれたでしょうか?電器メーカー、自動車メーカーは?ミュージシャンやアスリートはどうでしょうか?
3、国境を越える
ファーストリテイリングの目標は、世界一の製造小売業(SPA)になることです。
ギャップ(米国)、H&Mスウェーデン)、さらにはインディテックスZARA、スペイン)を抜いて、2020年までに売上5兆円(現在0.82兆円)を達成することです(日経11.9/15。12.3/8)
そのためには海外の売上高を日本より多くします。中国、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンのアジアで集中出店をします。そのためにファーストリテイリングでは朝7時から働き、英語を勉強し、国境を越えようとしています。
すべての問題は、国境を越えると違って見えてきます。たとえば消費税。世界不況の原因を作らないために日本は財政を再建しなければなりません。たとえば原子力発電。国際原子力機関IAEA)は、2050年の原発の発電量を1.7~3.7倍(10年実績比)と予想しています。原発建設ラッシュは日本の技術を必要としています。そして平和憲法。日本は世界第6位の軍事費を使いながら、戦力を持っていない言っています。軍事力で国際協力できない、はなんともヘンな理屈になります。
日本人は、生活のための良心で行動しているつもりでも、国境を越えれば通用しません。
英語を勉強しましょう。国境を越えて活躍できる、新しい日本人になりましょう。