オバマとロムニー。どちらが勝つかではない、ふたりに学びたい。

クリエーティブ・ビジネス塾40「ディベート」(2012.10.10)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、オバマロムニー
バラク・オバマ民主党)とミット・ロムニー共和党)、米大統領候補のふたりが11/3にデンバーでテレビ討論を行い、全米に中継されました。ふたりの政策の違いはどこにあるのか?どちらが大統領に選ばれるのか?興味はつきませんが、それ以前に私たち日本人にとってふたりの討論は、スピーチ・プレゼンテーション・ディベートの貴重な学習材料です。
討論は、雇用、税金、財政、医療、教育など6つのテーマで90分間。まず、それぞれが自分政策と相手の政策との違いを中心に2分間のスピーチ、そのあと約10分のディベート(討論)でひとつひとつのテーマを論じ、最後に2分間の締めくくりのスピーチという構成で行われました。
2、ロムニーの勝ち
1)ボディランゲージ・・・スピーチ(演説)、プレゼンテーション(提案)、ディベート(討論)は、同然のことながら言葉を使って行われます。しかしその言葉は聞かれていない、という調査結果があります。言葉を聞いているのはたったの7%。あとは居眠りか?違います。話しを見て、感じて、います。これを言葉のバーバルコミュニケーション(verbal communication=論理的なコミュニケーション)に対してノンパーバルコミュニケーション(非言語的なコミュニケーション)といいます。ボディランゲージ(身体言語)です。服装、顔の表情、声の調子、仕草、ジェスチャー、そしてアイコンタクトです。
ふたりは共にダークなスーツ、白ワイシャツ。ブルーのネクタイのオバマは表情が冴えていませんでした。レッドのネクタイのロムニーは話すに従って表情に赤みが差し元気に見えました。
2)言いたいことは3点に・・・スピーチやプレゼンテーションにはイントロとエンディングがあり、ボデイの本論では論点を3つにしぼるのが国際ルールです。オバマロムニーも、ナンバーワン・・・、ナンバーツー・・・、ナンバースリー・・・を何度も繰り返しました。説得力があったのは、ロムニーでした。
昨年亡くなったアップルのスティーブ・ジョブズが、2005年にスタンフォード大学の卒業式でやった伝説の名スピーチがあります。出生の秘密、アップル追放、死を宣告された病気(当時は死ぬとは思われていなかった)、3つの物語にしぼった、素晴らしいスピーチでした。
ロムニーは、あるとき司会者の静止を振り切って、ルールを破って話し始めました。理由がありました。自分の方が発言回数が1回少ない、ルール破りは司会者だ、が理由でした。テレビの視聴者は、ロムニーを意志が強い男だと思いました。
3)ユーモア・・・討論の当日はオバマの結婚記念日。ロムニーは祝福しました。そして、僕がいっしょのロマンチックな日になると、オバマと聴衆の笑いを誘いました。ロムニーはユーモアがありました。
ユーモアとともに大切なのは、マナーです。ディベートを終えたふたりが笑顔で握手したのは当然としても、ふたりともオープニングとエンディングでは、ディベートの主催者、司会者に感謝の言葉を述べていました。日本ではどうでしょうか。ときどき感謝の言葉を忘れていないでしょうか。
テレビ討論の結果は、米CNNテレビが、ロムニー67%、オバマ25%で、ロムニーの勝ち、米CBSテレビが、ロムニー46%、オバマ22%でロムニーの勝ち、としました(日経10/5)。
3、11/6が投票
テレビ討論はあと2回(10/16,22)行われ、11/6の投票になります。現在の世論調査ではオバマ49.1%、ロムニー46%。第1回目のテレビ討論ではロムニーが評価されましたが、オバマ有利の流れが変わるところまで行っていません。
米大統領選挙は間接選挙、選挙人を選ぶ選挙です。それも総得票数ではなく、州ごとの投票で1票でも多く取った候補がその州の選挙人をすべて獲得する「勝者総取り」方式です。注目は選挙人が多い、オハイオ州(18人)、バージニア州(13人)です。
オバマ民主党は、国際協調で、大きな政府、管理と規制で医療・教育での平等を実現します。
ロムニー共和党は、強いアメリカで、小さな政府、市場経済を重視し、個人の責任を求めます。
候補者の人柄の対決だけでなく、2大政党の政治理念の対決にもぜひ注目を。政府が弱者を救済することが、無条件で正義とされるわけではありません。