クリエーティブ・ビジネス塾46「中国か米国か」(2012.11.27)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。
1、世界のナンバーワン
やがて中国(中華人民共和国)が米国(USA)に代わり経済規模で世界でナンバーワンの国になります。OECD(経済協力開発機構)は2016年にも米国を抜くと予想しています(日経11/16)。100年続いた米国繁栄の時代は終わります。さらに中国は1兆ドルを超える米国債を持つ米政府最大の債権者でもあります。
中国の力は、経済だけではありません。軍事力でもミサイル、ステルス戦闘機で世界の脅威になっています。有人宇宙船を打ち上げる宇宙開発力でも独自路線を歩んでいます。そして民意をコントロールし仮想の敵を攻撃するサイバースペースの力でも米国を追い越しています。
21世紀は中国の時代になるのか。それとも崩壊するのか。私たち日本人は中国とどうつき合えばいいのか。それを整理します。
2、中国の問題点
1)共産党独裁
中国は民主主義の国ではありません。選挙により議員が選ばれたり、大統領が決まる国ではありません。11月に北京で中国共産党大会が開かれ、胡 錦濤(こ きんとう)にかわり習近平(しゅうきんぺい)が中国共産党の最高位である総書記に選ばれました。この総書記が政府と軍を指導します
一大スキャンダル事件があります。重慶市の共産党幹部が突如解任され共産党を除名されました。太子党の大物幹部、薄 熙来(はく きらい)です。そして薄 熙来の妻が、英国人殺害事件の犯人として逮捕されました。さらに彼は巨額の賄賂受け取り莫大な富を築いていました。労働者が権力を握る、お金持ちの資本家はいない、これが共産主義の夢でした。現実は夢を裏切りました。
2)所得格差
フェラーリやランボルギーニ、イタリアのスーパーカーが世界でいちばん売れているのは、共産主義の国・中国です。信じられません。なぜなら国営企業や共産党幹部は日本の上場企業の重役と変わらない収入を得ているからです。まあ、それはいいとしても、問題は悲惨な農村です。年収3万円という低所得者層がいることです。所得格差は1000倍。共産主義の国とは思えません。経済規模では世界ナンバーワンですが、1人あたりのGDP(国内総生産)では183カ国中90位。人口の1/4が所得の3/4を占め、貧困ライン以下で暮らす人が1億人を超えています(日経11/22)。
3)領土問題
共産党の腐敗、所得格差は中国国内の問題ですが、領土問題は国際問題です。フィリピン、マレーシア、ベトナムとの南沙諸島、日本との尖閣諸島、さらにチベット、ウイグル、インドでも、中国は国境問題を抱えています。世界のリーダーが、世界平和に貢献するのではなく、周辺国と争っているようでは、世界秩序は安定しません。
3、中国か米国か
問題は一点に絞られます。日本は、中国と組むのか、米国と組むのか。
和服は「呉服」、中国の「呉」という国の衣服をまねたものです。漢字は、文字通り中国の「漢」の国の文字を頂戴したものです。そしてラーメンは中国の麺料理にヒントを得て作られたものです。だから中華そば、支那そば、といいます。日本は中国なしに考えられない国です。
では米国との関係はどうか。ジーンズは、19世紀の米国で砂金取りの作業のために発明されたウエアです。ロックはどうか。エルヴィス・プレスリーの登場で黒人のように歌うロックンロールが始まりました。ファーストフードしてのハンバーガーはマクドナルド兄弟が発明し、日本に世界にひろがりました。米国なしの日本も考えられません。では不即不離(即かず離れず)か。英語でいう「neutral(中立)」でしょうか。
中間の道などありません。いまは日米安保条約があります。つまり米国中心の「TPP不参加」などという選択肢はありえません(佐藤優 手嶋龍一『動乱のインテリジェンス』p.211 新潮新書)。ふたりの知の巨人は、日本は日米同盟で外交を展開すべきだとアドバイスしています。