「セクハラ」を、友だち同士で使うのを止めよう。

クリエーティブ・ビジネス塾32「セクハラ」(2013.8.29)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、セクハラ
下ネタやエロ話をすると、「セクハラ」という、困った風潮があります。たとえば、「寄席(よせ)」にいってみるといい。テレビ中継されていないときの落語は、エロ話のオンパレード。これは漫才の本拠地大阪のヨシモト演芸場でも同じです。テレビ中継が始める前の芸人は水を得た魚のように、下ネタで客を喜ばします。喜んでいるのは、観客席で大多数を占める女性です。下ネタは人と人のコミュニケーションを円滑にし、男女の間のバリアーを取り除きます。
日本語として定着した「セクハラ」という言葉は、下ネタを放った者を犯罪人のように攻撃する、イヤな響きがあります。そもそも「セクハラ」という言葉は日本の伝統に似合いません。セクハラに異議を申し立てること自体が、セクハラと抗議されるのを覚悟で、セクハラを再考してみます。
セクハラは、Sexual Harassment(性的嫌がらせ)で、女権の拡張とともに70年代にアメリカで生まれ、80年代に日本に輸入されてきた言葉です。日本は欧米より女性差別がひどい。だからセクハラの問題は、日本でこそ真剣に議論さらなければならないと、もっともらしくいわれますが、実は逆で、米国やヨーロッパだから、セクハラが問題になるのです。
証拠を挙げます。その1。英語で男性はmanです。そして人間もmanです。でも女性はwomanです。その2。人類最初の男性はアダムです。女性のイブは、アダムの一本の骨から作られました。その3。西欧ではlady first(女性優先)がいわれるは、女性を蔑視してきた歴史があるからです。中世のヨーロッパでは何万人もの女性が魔女裁判で殺されています。
2、ルイス・フロイス
16世紀に、ポルトガル人の宣教師ルイス・フロイスは、日本女性の生活スタイルについて、貴重な記録を残しています。ショッキングな内容ですが、歴史家網野善彦フロイスの証言を検証し、真実!との結論を出しています。
1)日本の女性は、純潔を重んじない。このことで名誉を失い、結婚できないことはない。
2)家庭の財産は夫婦で別。妻は夫に高利で貸し付け、妻はしばしば夫を離別する。
3)日本の娘たちは、ひとりで好きな所に出掛ける。妻もひとりで自由に出掛ける。
(『日本歴史をよみなおす』p.144~「第4章女性をめぐって」の部分を大沢が要約したものです。以下も同じです。 網野善彦 ちくま学芸文庫
純潔を重んじないとは、夜這い(よばい)や歌垣(うたがき)の風習があったからです。夜這いとは、恋人の寝ている所に忍び入ることです。歌垣とは、歌って踊って恋をする、伝統の行事です。純潔を重んじないというより、日本女性は奔放に恋愛を楽しんでいたと考えるべきです。
つぎは家庭での男女の力関係です。「三行半(みくだりはん)を書く」という言葉を聞いたことがありますね。江戸時代に男性だけが書くことができたという離婚届です。だから男性の横暴に女性は泣いていた。でも実態は違う。女性が男性に離婚届を書かせたケースが多いのです。
最後は女性の社会的な地位の問題です。日本の女性は平民でも文字を書ける人がいました。この事実は西欧の女性と徹底的に違います。日本には『源氏物語』の伝統があります。日本女性が書いた小説は、世界文学を1000年以上先取りしています(『なでしこ日本史』p.53渡部昇一 扶桑社)。
3、出会い
「マタハラ」という言葉あります。マタハラとはマタニティーハラスメント(Maternity Harassment=妊婦への嫌がらせ)。雇用主が、妊娠した女性に育児休暇をとらせない、妊娠したら望まない配置転換を強要する、とんでもない話です。ハラスメントの基本構造は、経済的社会的に権力を持ったものが立場の弱いものにする、女性差別的な嫌がらせです。つまり、パワハラ(Power Harassment=権力を使った嫌がらせ)です。
だから友だち同士でセクハラという言葉を使いたくない。 セクハラという言葉におびえた男性が、女性に対して内気になりすぎている、これが少子化の原因のひとつではないでしょうか。生きるとは、好きな人と出会うことです。その大切な瞬間を「セクハラ」のひとことで失いたくありません。