30過ぎたら、仕事ができる男がモテる。秋元康

クリエーティブ・ビジネス塾25「秋元康」(2014.6.18)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、AKB48
AKB48の第6回選抜総選挙の開票イベントが、6月7日東京・調布市味の素スタジアムで開かれ、まゆゆ渡辺麻友(20)が第1位に選ばれました。
雨のスタジアムに集まったのは7万人のファン。ほとんどが無料で配られたピンクの雨合羽を着ていました。何が目的で?もちろん「会いに行けるアイドル」AKB48のメンバーに会うためにです。今回のベストファイブは、1位まゆゆ渡辺麻友、2位さしこ・指原莉乃、3位ゆきりん柏木由紀、4位じゅりな・松井珠理奈、5位れな・松井玲奈。いままで第1位を獲得したのは、第1回の前田敦子、第2回大島優子、第3回前田敦子、第4回大島優子、第5回指原莉乃です。
総選挙とは、売上げを伸ばすための、巧妙な仕組みです。投票権は5月21日発売のシングル「ラブラドール・レトリバー」を買った人に与えられます。「投票シリアルナンバー」を専用サイトに入力して投票が成立します。そのほかAKB48公式ファンクラブと各姉妹グループの公式携帯サイトに有料の会員登録をすることでも与えられます(サンケイスポーツ6/8)。つまりお金で投票権を買う。いかに巧妙か、投票数を見れば分ります。第1回のトップ、前田敦子はわずか4630票でしたが、今回の渡辺麻友は15万9854票、単純計算でAKB48は40倍も売上げを伸ばしていることになります。
2、企画脳
AKB48を企画しているのはクリエーター・秋元康(1958年生まれ)です。17歳でプロの放送作家としてデビュー。1985年にテレビ番組「夕焼けニャンニャン」でおニャン子クラブセーラー服を脱がさないで』をヒットさせ、2005年にAKB48を始めています。秋元康の頭の中を、『企画脳』(秋元康 PHP文庫)で研究します。
1)差別化・・・みんなとは違うことを考える。あたり前のことは全部外して行く。「追っかけ」は、テレビ局でアイドルの「入り待ち」「出待ち」をしていた。姿を見れるのは瞬間、ちゃんと会えるのはコンサートだけだった。そこで同じ場所でコンサートをやる「会いに行けるアイドル」(前掲p.7)を作った。
2)裏切る。裏を行く・・・エッチなおじさんは、セーラー服を脱がしたがっている、そこで「セーラー服を脱がさないで」。おニャン子クラブは、テストになると平気でテレビ番組を休んだ。芸能活動より学業を優先させた。私たちと同じなんだ・・・視聴者はアイドルに親しみを感じた(前掲p.90~91)。歌謡番組「ザ・ベストテン」(1978~1989)では、歌手が出演不能ときに、新幹線のホームでも歌わせた。
3)媚(こび)ない・・・仕事の依頼主に媚びない。根拠がない自信を持つ。正解がないところで、正解を言い切る(p.23)。ある種の「毒」や、独特の「個性」を持つ(前掲p.39)。
秋元康は、企画は記憶から始まる、記憶とは何を見たかである、と明言します(前掲p.8~9)。テレビで見た、ネットで見た、本で見たではありません。あなたの目が何を見たか、あなたの身体が何にぶつかったかです。街に出ることです。スタジアムで、映画館で、ライブで、表参道で、原宿で、御宿で、ストリートウォッチング、マンウォチング、ギャルウォッチングをすることです。
3、アイドル
AKB48を襲撃する事件が5月25日に岩手県産業文化センターの握手会で起こりました。入山杏奈(18)と川栄李奈(19)が負傷しました。犯人は24歳の男性、青森県在住、祖父と母の3人暮らし、犯行の動機は「AKBなら誰でもよかった」、自宅に引きこもり状態だったといいます。
アイドルとは何でしょう。そのファンとはなんでしょう。オタクだけではありません。漫画家小林よしのりをはじめとする、大人の知識人たちもAKB48のファンになっています。AKB48が恋愛禁止なのは、彼女たちが聖職者だからだ。生き方で迷っている若者たちを導かなければならないからだ。AKB48サリンを撒かない安全なオウムだ・・・???。知識人たちの話はよくわかりません。
リエーターならAKB48より、それを企画したクリエーター・秋元康に注目べきです。自らがスターになる道を探すのです。若いうちにモテるのは、ルックス、楽器が弾ける、歌が上手、話がうまい。しかし30歳をすぎると、仕事ができる者人間的に魅力がある者がモテる(前掲p.182~183)。
自分が仕事でアイドルになるのです。