イギリス人が見たニッポン人はとても素敵。

クリエーティブ・ビジネス塾42「ニッポン社会」(2014.10.14)塾長・大沢達男
1)1週間の出来事から気になる話題を取り上げました。2)新しい仕事へのヒントがあります。3)就活の武器になります。4)知らず知らずに創る力が生まれます。5)ご意見とご質問を歓迎します。

1、ニッポンの「×」
ロンドン生まれのイギリス人ジャーナリスト、コリン・ジョイスが書いた「『ニッポン社会』入門」(NHK出版 生活人新書)が話題になっています。なぜ話題なのか。抱腹絶倒、面白いから。
まず「納豆はダイジョウブですか」と何度も聞かれた。そして「マンション」とは狭苦しい小さなアパートのことではない。さらに「バイキング」とは、略奪に優れたスカンジナビアの海賊のことで、取り放題、食べ放題の、バラエティ豊かな食事のことではない。
つぎは、「イギリスと日本は似ている」という俗説。まずイギリス(ポルトガル語)とはthe UK(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland=大ブリテン島と北アイルランド連合王国北アイルランドウェールズスコットランドイングランド)のことである。スコットランド人をイングリッシュ(English=イギリス人)と言ってはならない。そしてイギリス人も日本人もジェントルマン(紳士)だという誤解があります。日本人は紳士かも知れないが。ヨーロッパでは、イギリス人とフーリガンサッカー場で暴れる暴徒)と同義語と考えられてます。
もうひとつ。日本人の「マスク」が外国人を驚かしています。マスク姿で平気で人と話す。
2、ニッポン社会の「○」
まずおにぎり。ワンツースリー、パリパリの海苔で食べれるおにぎりに感激。そして幕の内弁当。きれいに仕切られて色どり豊富なおかず。おいしそう。コリンは思わず写真に撮ってしまったそうです。
次に、銭湯(せんとう)もイギリス人を感激させます。清潔、大きな風景画、高い天井、ハーブ風呂、サウナ、マッサージ風呂・・・430円。ここに老人しかいないのはおかしい。
そして電車。イギリスでの電車の時刻表は単なるフィクション。ところが東京の電車は自分の時計を直さなくてはならないほど正確である。しかもロンドンの運転手はプラットフォームのどこにでも気まぐれに電車を止める。
「電車の中でふたり連れが立っている。座席がひとつ空く。おたがい譲り合った後に、ようやくひとりが席につくと、必ずその人は立っている人の荷物を持ってやろうと手を差し出す。こんな心温まる小さな親切は、ぼくは日本以外のどの国でも見たことがない。ああ、これこそ日本」(前掲書p.65)。
「○」か「×」かは、分かりませんが。コリンがこの本の冒頭にあげているのは、日本のプールです。レーンごとに方向を決めて、整然と泳いでいる。イギリスではあり得ない。ごちゃごちゃ、ぶつかり合うのはあたり前。つぎは休憩時間。5~10分休憩のあれです。そしてスイミングキャップ着用の厳しいキマリです。コリンは一度の4つの規則違反をしました。まず、休憩時間に飛び込んだ。つぎに逆方向に泳いだ。しかも潜水した。そしてスイミングキャップをかぶっていなかった。
3、ニッポン社会の課題
コリンは英高級紙「デーリー・テレグラフ」の記者でした。コリンはぼやいています。まずイギリスの編集部は日本の報道に紙面を割いてくれない。どんなに原稿を送ろうと簡単には掲載されない。運良く掲載されても大幅に改変される。たとえば「小泉首相憲法9条の見直しに賛成」は、センセーショナルに「日本の新首相、交戦権を要求」になる。ここの部分には全く笑えません。
イギリス本国が日本に要求する記事のベストスリーは、「第2次世界大戦」、「相撲」、「ヤクザ」。戦いに関するものばかり。日本人はやはり「Jap(ジャップ)=日本人の蔑称」で、「Yellow(イエロー)=黄色人種、卑劣、妬み深い」、バカにしています。
1941年12月10日、当時最強のイギリス戦艦「プリンス・オブ・ウエールズ」は、日本海軍の航空部隊によりあっさりと撃沈され、チャーチル英首相に衝撃を与えます。そして戦後、イギリスはインド、マレーシア、ミャンマービルマ)の植民地を手放すようになります。そのときのトラウマ(精神的な外傷)で、日本を戦いの国と見るのでしょうか。だったらいいのです。占領軍に押しつけらた平和憲法など捨てて、お望み通り自衛権(交戦権)を主張し、やっぱりと納得してもらえばいいのです(玉砕と特攻はイヤ)。それが無謀なら、ワールドカップの決勝でイングランドを3-0で下せばいい。
整然と泳ぎ、時刻通りに電車を運行し、おいしい弁当を持つ、日本人は戦いに強い・・・はずです。