ウクライナ問題では、佐藤優と心中するしかありません。

THE TED TIMES 2022-21「プーチン vs ゼレンスキー」 6/15 編集長 大沢達男

 

ウクライナ問題では、佐藤優と心中するしかありません。

 

友人とウクライナ問題を話しません。佐藤優の諸説を信じる私は、孤立するに決まっているからです。佐藤優は言います。日本にはウクライナの専門家が非常に少ない。言語の基礎知識がなく、民族学的基礎訓練を受けていない人の、言説を受け入れてはならない。

対して佐藤優はモスクワの日本大使館に勤務し、ロシア語、ベラルーシ語、ウクライナ語を学び、東スラブの民族研究に取り組みました。そこで『プーチンの野望』(佐藤優 潮新書)の要約・編集を試みました。

 

1、プーチン

1)プーチンは生真面目です。・・・「プーチンは腐敗や汚職に関与しない潔癖な人物だ」。この噂から、新生ロシアの大統領エリツィンが、プーチンを政権内部の重要ポストの採用するようになります。

2)プーチンは信頼関係を大切にします。・・・エリツィンは、プーチンにサブチャークと決別すれば、次期大統領にすると持ちかけます。しかしプーチンは、恩義ある人を裏切ることはできない、と答えます。

サブチャークとは、レニングラードの市長で、プーチンは副市長でした。そのとき、プーチンはサブチャークに救われた経験を持っていました。「義理」がありました。

このエピソードでさらにエリツィンプーチンを信用するようになります。プーチンは人間関係を大切にします。

3)プーチンは無駄な発言をしません。・・・インテリジェント・オフィサー(諜報員)の特徴です。まず情報を集め、結論が出るまでは無駄な発言をしません。しかし「暴言」はします。

そしてプーチンは天命を信じます。信仰心が旺盛な、ロシア正教徒です。結論としてプーチンは、ロシアという共同体家族の社会に権威主義的な民主主義社会にふさわしい権力者です。

2、ゼレンスキー

1)ゼレンスキーのウクライナ軍は、2022年2月24日のロシアの特別軍事行動の前に、2021年10月に自爆型ドローン(無人攻撃機)で、新ロシア勢力への攻撃をしています。

2)乱暴な図式ですが、ゼレンスキー政権=バンデラ主義者=ナチス主義者が、成り立ちます。

ステパン・バンデラ(1909~59)は、1930年代にポーランドと、1940年代初頭にソ連と戦いました。そしてバンデラは1941年と1944年にソ連と戦うために、ナチスに協力しました。

バンデラはナチのジェノサイド政策に沿う熱烈な反ユダヤ主義を体現していました。

2009年、ユシチェンコ政権はバンデラ生誕100周年に記念切手を発行し、2010年、死後に「ウクライナの英雄」という公式の肩書を与えました(結局は撤回されますが)。

3)プーチンは、ゼレンスキー政権をナチス主義者と非難し、今回の戦争を「非ナチス化」と呼びます。でもこの主張は正しい。

3、北方領土

3月2日国連総会、ウクライナからロシアの即時撤退を求める決議がありました。193カ国中141カ国が賛成。ロシア、ベラルーシ、シリア、北朝鮮エリトリアの5カ国が反対。中国やインドなど35カ国が棄権。

4月7日国連人権理事会、ロシアの理事国資格停止決議があります。賛成93カ国。中国など24カ国が反対。58カ国が棄権。

この投票結果を佐藤優は「重く見よ!」と指摘します。つまり半数の国家が、反対、人口で見ればロシアの支持する人の方が多くなります。

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そんなことより、今回の日本政府のロシアへの対応により、日露関係は出鱈目になりました。

2月24日のロシアの特別軍事行動に対して翌日の25日に、日本の外務省は「この軍事行動は、(中略)武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反」(外務省ウエッブサイト)であると、抗議の声明を発表しました。

対してロシア外務省は3月21日に、日本との廃和条約を締結する意思がないという声明で答えました。

安倍元総理は、在任中にプーチン大統領と実に27回も日露首脳会談を重ねてきました。すべては無駄に。日露関係は、北方領土交渉どころではなくなってしまいました。