クリエーティブな仕事をするための、体型とファッション。

クリエーティブ・ビジネス塾7「プラスサイズモデル」(2017.2.14)塾長・大沢達男

クリエイティブな仕事をするための、体型とファッション。

1、プラスサイズモデル
ニューヨーク・マンハッタンの最大の観光スポット、タイムズスクエアの巨大な電子看板に映し出された「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」(カジュアル衣料品)の広告が話題になっています(日経2/8)。
話題の理由は、従来のスーパーモデルよりふくよかな「プラスサイズ」モデルが採用されているから。広告には「この女性はリタッチ(修整)していません。本当のあなたこそ魅力的!」のコピーが書かれています。
アメリカン・イーグルの広告だけではありません。プラスサイズモデルの仕事は増え、広告とファッション雑誌につぎつぎと登場しています。
いま米国では極端な「痩せ志向」の見直しに大きく動いています。あのありえないほどカッコいい「バービー人形」も変化しています。新たに「カービー(曲線的、一般的にやや太めの体型を指す)」、「プチ(小柄)」、「トール(長身)」の3体形を追加。「非現実的な体形」への批判を無視できなくなったのです。
もちろん、肥満はオーケーというわけではありません。20歳以上の米国人の肥満率は30%を超えています。肥満はあらゆる生活習慣病の原因とされています。体形の多様化を認めようじゃないか、というのがプラスサイズモデルの登場です。
2、BMI
痩せすぎか。それとも肥りすぎか。
判定するのはBMI(Body Mass Index)。体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数です。
BMI=体重kg÷(身長m)(身長m)、適正体重=(身長m)(身長m)×22
たとえば、あなたの体重が65kgで身長が1.72mならば。
BMI=21.97、適正体重=65.08kg
BMI指数は22が理想値。最も病気にかかりにくい、とされています。
肥満度が高くなると、生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)になりやすくなります。
日本肥満学会では、BMI25以上を肥満、BMI18.5未満を低体重にしています。
でもBMIだけで一概に、痩せすぎ、肥りすぎを判定できません。
BMIは、1835年にアドルフ・ケトレー(1796~1874)が提案したものです。ケトレーは単なる数学者で、統計的な結論を言っただけです。
人には個性があり、それぞれの体型があります。
たとえば、シェルドン(1899~1977)のソマトタイプ(Somatotype=体型)があります。
肥満型は「内胚葉型体型」で、内臓器官がしっかりしています。痩せ型は「外胚葉型体型」で、神経や感覚器が発達しています。そして筋肉型は「中胚葉型体型」で、骨や筋肉が強いのです。体型は、胎児のとき、1歳まで、そして思春期に決まり、生涯の体型になります。
さらに精神科医クレッチマー(1888~1964)は、肥満型は躁鬱気質、痩せ型は分裂気質、筋肉型は粘着気質という、性格分類を付け加えました。これは面白い。よく当たっています。
体型は生まれもってのものです。BMIだけで判断できない多様性が、体型にはあります。
3、アスレジャー
生き方の多様性、そして体型の多様性を認める。このことがファッションに大きな影響を与えています。
「カジュアルドレスの革命」です。オフィスの服装規定(dress code)が大きく変化しています(『実践ビジネス英会話』2017.2)。1950年代の米国では、男性はダークスーツ、黒靴、白シャツ、地味なネクタイ、女性はスカート。パンツスーツですら女性らしくない、みっともない。ダークスーツとスカートがマナーでした。
それが70年代のジーンズ革命から大きく変わってきました。
ドレスアップではなく、ドレスダウン(dress down)。ビジネスカジュアル(business casual)の登場です。ジーンズにスニーカー、スエットパンツ、ヨガパンツ。
いまの注目は「アスレジャー」。運動(アスレテッィク)と余暇(レジャー)を組み合わせた合成語です。
タイムズスクエア電子看板アメリカンイーグルはそのトップランナーです。日本ではユナイテッドアローズ、ギャップ、ジーユーそしてシューズのABCマートも大々的に取り組んでいます(日経2/8)。
問題は、多様な体型とファッションで、どれだけクリエイティブな仕事ができるかです。