チャールズ・ダーウィン(1809~1882)の進化論から、英米の帝国主義、そしてマルクス主義が始まりました。

THE TED TIMES 2024-06「進化論」 2/7 編集長 大沢達男

 

チャールズ・ダーウィン(1809~1882)の進化論から、英米帝国主義、そしてマルクス主義が始まりました。

 

1、英国

<英国のインド進出では、武力だけではなく、インド教徒と回教徒、藩王藩王、ジャット人とラージプト人、ブンデラ人とロヒラ人、仲間同士を戦わせました。

1857年のインド兵叛乱では、英国は残忍酷薄な行為を行っています。

「土民の老幼男女を屠った」、「老人・女子・小児なども血祭に挙げられた」。

大英帝国において、インド農民以上に悲惨なるものはない。彼は一切を絞り取られてただ骨のみを残している」

さらに英国は、中国(支那)で絹織物と茶を買い。代金を阿片で払います。

中国人は阿片中毒に、中国は経済的財政的危機を迎えます。

1839年、中国は林則徐に取締りを命じますが、英国は勝利し、1842年不平等条約南京条約を結び、中国国家を解体します。

「すべての支那将校を海賊や人殺しと同じく、英国軍艦の帆桁にかけよ。人殺しの如き人相して、奇怪な服装をなせるこれらの多数の悪党の姿は、笑うに耐えざるものである。

支那に向かっては、イギリスが彼らより優秀であり、彼らの支配者たるべきものたることを知らしめなければならぬ」>(『米英東亜侵略史』(大川周明 土曜社)からの要約)。

なぜ英国は、インド人と中国人に対して、こんなに非道いことをしたのでしょうか。

英国人は「科学的に正しい」とことをしたまでに過ぎません。

「北欧系に比べて、ほかの『人種』は知能能力は低い」(『ダーウィンの呪い』 千葉聡 講談社現代新書 p.194)。

「動物の品種改良ができるなら、人間の品種改良もできる」(p.190)

知能指数の低い、インド人・中国人は絶滅する運命にある、と科学的に信じていたからです。

2、米国

<「およそ150年以前から(中略)世界は白人の世界であるという自負心が昂(たか)まり、欧米以外の世界の事物は、要するに白人の利益のために造られている思想を抱き、いわゆる文明の利器を提(さ)げて、欧米は東洋に殺到し始め」ました。

そんな中で、1853年ペルりのアメリカ艦隊が浦賀湾に乗り込み、通商開港の条約締結を求めてやってきて、翌年の正月、やむなく幕府は長崎の他に、下田・函館を開く約束をします。

日清戦争(1894~5)で支那の無力が暴露され、帝国主義支那を略奪の対象とするようになります。

アメリカの東洋政策も変わります。

太平洋を支配するものが東亜を支配する、アメリカは日本の勢力圏である満蒙を進出の目標にします。

1905年ポーツマスで日露の講和談判が進行している最中アメリカの鉄道王ハリマンが、日本のものとなるべき南満州鉄道を買収しようとし、桂首相との間に覚書を成立させます。

驚いた小村寿太郎がこれを取り消しにします。

アメリカは満鉄、シベリア鉄道で世界一周船車連絡路を築こうとしていました。

ハリマン計画の失敗で、アメリカは日本が東洋進出の障碍であると考えるようになります。

アメリカは日本人排斥を始めます。

1906年にサンフランシスコの小学校から日本少年を放逐し、1907年に数十人のアメリカ人が日本人経営の商店を襲撃します。

加えて1911年加州議会で日本人土地所有禁止の法律が成立します。さら加州排日協会は、日本人の借地権を奪う、写真結婚の禁止、米国が排日法を制定する、日本人に帰化権を与えない、日本人の出生に市民権を与えない、以上を決議をします。

日米両国の政治的決闘が始まります。

アメリカは、1921~2年のワシントン会議で、第一に日英同盟を廃棄させ、日本を国際的に孤立させ、第二に日本海軍の主力艦を米英の6割に制限することに成功します。

「繰返して述べたる如く、米国の志すところは、いかなる手段をもってしても太平洋の覇権を握り、絶対的に優越たる地歩を東亜に確立するに在る。そのために日本の海軍を劣勢ならしめ、無力ならしめ、しかる後に支那満蒙より日本を駆逐せんとするのである」>(『米英東亜侵略史』(大川周明 土曜社)からの要約)。

そして1941年12月8日の開戦なり、1945年8月15日の終戦になります。

米国の日本に対する態度も、米国人が科学的に正しいと考えてしたことに、他なりません。

「奴隷は人間ではない。堕落した民族、依存的な民族、異質な民族が我々の国境内に存在したとしても、それらは合衆国の一部ではない。彼らは社会問題であり、平和と福祉に対する脅威である」(p.226)。

「この法律は日本で排日移民法と呼ばれてきたものだが、必ずしも日本からの移民を排除しようとしたものではなく、その本質は遺伝的に劣った「人種・民族」の移入阻止を目的とした優生思想である(p.234)。

3、マルクス

「『優生学とは、民族の先天的な資質を向上させるあらゆる効果を研究する科学』」(p.190)。

ギリシャ時代から優生思想はありました。紀元前4世紀のプラトンはこう言っています。

「上流階級の市民のうち良質と評価された男女だけが結婚し、それ以外は繁殖を禁じす。質の低い者は下層階級に追放する」(p.254)。

さらに近代になってからも近代オリンピックの父ピエール・ド・クーベルタン(1863~1937)が言っています。

「スポーツよ。あなたは豊穣だ。あなたは種族の完成に向け、真に高貴の努力し、不健康な種子を破壊し、その純粋さを脅かす傷を癒す」(p.278)。

そしてカール・マルクス(1818~1883)も社会進化論を展開しています。

「アジア的・古代的・封建的・および近代ブルジョア的生産様式が、経済的社会構成体のあいつぐ緒時期として表示されうる」(『経済学批判・序言』 カール・マルクス)。 

マルクスニュートン(1642~1727)の天体法則のように、社会変動の運動法則を発見し、自らの理論を「科学」としました。

さらにマルクスの理論にダーウィンの進化論を取り入れています。

ダーウィンは、(中略)動植物の諸器官の形成に関心を向けた。社会的人間の生産的諸器管の形成史、それぞれの特殊な社会有機体の物質的基礎の形成史も同じ注意に値するのではないか」(『マルクス・エンゲルス全集』23a p.487)。

進化論と優生学の影のある「科学的思想」は科学ではありません。

加えてマルクスは日本に対してたった1行ですが差別的な記述を残しています。

「日本でも、生命条件の循環は、もっと清潔に行われている」(『資本論』(三)p.303 向坂逸郎訳 岩波文庫)。

イングランドの労働者の劣悪な生活描写の後に出てくる、突然の日本そして日本人を奴隷扱いしたような、この記述は一体何なんでしょう。